詩織は理人に笑顔で別れを告げる。
理人もつられて笑ってはいたがどこかさみしそうだった。
自室に戻り手紙を読んだ。きれいな文字はどこか消えそうにこう書いてあった。
詩織さんへ
初めて見た瞬間から僕はあなたを好きになりました。
僕の家は祖父母しかおらず、両親は交通事故で還らぬ人となりました。
僕はあなたの笑顔を見るたび、愛されて育ったんだろうなと思い
胸が苦しくなります。
祖父母が大学進学でこちらに進むのを知った時の涙、あれを想うと
僕も愛されていた、そう思わざるを得ません。
あなたが好きです。周りの人も好きです。
どうか僕を受け入れてもらえませんか。
理人
詩織は目に涙を浮かべた。正雄が店じまいをしている間に返事を急いで書いた。
理人さん。私も初めて会った瞬間からあなたが好き。
一緒に幸せになりたいです。詩織より。
と。桃色の便せんに入れてしまった。
明日もあいにくの休校日。理人は正雄にバイトに来る連絡を入れていた。
高鳴る鼓動。意識すると止まらない熱い胸の高鳴り。
理人のようにこんなに思ってくれる人はいない。
詩織は涙をぬぐい、一階の台所へ向かうと理人がいた。
コメント
コメントを投稿するには会員登録・ログインが必要です。