今日から我が家は騒がしい 第8話 「笑うひと、黙るひと、狼狽えるひと」 ドラマ

京太郎のお見合いに真澄が強引に同席し場を攪乱しカオス状態に。一方、長女・さくらに憧れのBL漫画家アシスタントの面談通知が届き一家は歓喜に沸く。しかし現役作家である真澄は、プロの過酷さを説き安易な期待に釘を刺す。その厳しくも温かい真意に触れた京太郎は、真澄との奇妙な友情を再認識していく。個人の夢と家族の交流が深化していく。
あゆむ。 9 0 0 02/28
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第一稿

〇登場人物

〇森川京太郎
〇佐田真澄
〇森川渉
〇森川さくら
〇望月颯
〇桂川斗馬
〇天野美由紀
〇タカコ
〇ツバサママ
〇森川京子


〇喫茶店「R ...続きを読む
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〇登場人物

〇森川京太郎
〇佐田真澄
〇森川渉
〇森川さくら
〇望月颯
〇桂川斗馬
〇天野美由紀
〇タカコ
〇ツバサママ
〇森川京子


〇喫茶店「Rin」・中
   七話のダイジェスト。
   緊張して待っている京太郎。
   ガラス窓にくっついて中を窺っている真澄。
   真澄を見て不審に思う美由紀。
   京子が店の中に美由紀を連れて来る。
美由紀「どうも、初めまして」
京太郎「初めまして」
    京子が真澄を連れて来る。
京子「こちら、お隣の佐田真澄さん。全然怪しい人じゃないから、安心してね」
美由紀「(困惑)はぁ」
京子「京太郎、お茶淹れて」
京太郎「何で見合いする俺がお茶淹れなきゃいけないんだよ…」
   暗転。
   お茶を美由紀と自分の前に置き座る京太郎。
   二人の間に京子が座り真澄が隅の席でコーヒーを飲んでいる。
京太郎「あの、美由紀さん」
美由紀「はい」
京太郎「何で、私と見合いをしようと…」
京子「ちょっと」
京太郎「いや、気になったから。だって美由紀さんまだ三十歳でしょ?こんなおじさんとでなく
 ても、もっと周りに素敵な男性居るんじゃないかなって。しかも姉から聞いてるかも知れませ 
 んが、子供も二人居ますし」
美由紀「そうですね…同じ年代の男性にはちょっと魅力を感じなくて…父を早く失くしたせいも
 あるかもしれませんが、年上の男性に憧れてるってのはあるかもしれません」
京太郎「はぁ」
美由紀「あと、私子供も好きなので、そこも大丈夫だと思います。お子さん達が私の事気に入っ
 てくれるか、どうかは分かりませんが」
京子「子供って言っても、高三に中三でもう大きいし、二人が自立した後この子一人になった時
 に、誰か隣に居てくれたら姉の私も安心できるんです。美由紀さんなら京太郎と上手くやって 
 いけそうな気がしたから。美由紀さん私が派遣で行ってるスーパーで出会ったんだけど、凄く 
 気の利く人なのよ。パート内の皆にも信頼されてるしね。お客さん相手の仕事だからここのお 
 店も手伝ってもらって二人仲良く」
   真澄が立ち上がり、コーヒーを淹れに行く。
美由紀「それは是非(店内見て)凄く雰囲気がいいお店ですよね。レトロな雰囲気、私も大好き
 なんです」
   美由紀と京太郎にコーヒーを出す真澄。
美由紀「あ、どうも(少し探るような視線)」
真澄「いいえ」
京太郎「何してるんですか?」
真澄「何って、お茶よりここの自慢のコーヒー飲んでもらった方が良いかなって」
京太郎「あぁそれはどうも」
   京子のメール着信音が鳴る。
京子「あ、ごめんなさい。ちょっと席外しますね。お二人でゆっくり話してて下さい」
   ウキウキしながら店を出て行く京子。
京太郎「また出会い系アプリかよ」
美由紀「え?」
京太郎「あ。いや何でもないです…」
真澄「美由紀さんって言いましたっけ?」
美由紀「はい」
真澄「折角、京ちゃんのお姉さんが紹介したこのおっさんですけど」
京太郎「ちょ、おっさんって」
真澄「この人は止めといた方が良いですよ」
美由紀「え?」
真澄「お姉さんの手前上手く言えなかったんですけど、この人相当な偏屈者ですよ」
京太郎「ちょっと、さっきから何言ってるんですか」
真澄「本当の事言って知ってもらわないと、美由紀さんに失礼でしょうが」
京太郎「失礼なのは貴方でしょ。さっきから黙って聞いてたら勝手な事ばっかり」
真澄「黙って聞いてないじゃん。さっきから真実を話してるのに口挟んでばっかりで。こういう
 所なんですよ。分かります?」
京太郎「なぁに言ってるんですか。偏屈なのはお互い様でしょうが」
真澄「ちょっと、マジで一緒にするの止めてくれますか?侵害の中の侵害なんで!」
   二人の言い合いがヒートアップしていく。
京太郎「もしかして、“ゲイ界の偏屈王”とか言われてないですか?」
真澄「はぁ?」
   京太郎の言ったゲイに反応する美由紀。
美由紀「あの、ちょっと!」
   京太郎と真澄の言い合いが止まる。
美由紀「あの…真澄さんってゲイなんですか?」
真澄「あぁ、そうだけど」
   美由紀の目つきが変わる。
真澄「な、何?俺がゲイだと何かマズいの?」
美由紀「私、ゲイの人と、反りが合わないって言うか、相性が良くいないって言うか」
真澄「は?」
美由紀「昔付き合ってた人が、そういう人に取られたことがあって」
   思わず吹き出す真澄を睨む美由紀。
美由紀「だから、ゲイの人見ると嫌悪感が顔に出てしまうんです」
真澄「出てしまうんですって言われたって、俺が貴方の男寝取ったわけじゃないし、ゲイに持って
 いかれるって事は元々付き合ってた彼もゲイだったんじゃないの?」
京太郎「ちょっと、二人共…」
美由紀「いいえ、そんな事ありません。私の事をちゃんと愛してくれてる人でした」
真澄「どうだかねえ。そういう偏見があるからゲイの人間は生きにくくなるんだよ分かってない
 なあ」
美由紀「あの。まさかですけど、真澄さん京太郎さんの事が好きとかじゃないですよね?私に諦
 めさせようとしてるとかですか?」
真澄「はぁ?俺は、貴方の為に思って言ってあげたのに。そんなんだからゲイに寝取られるんだ
 よ」
   今度は真澄と美由紀がヒートアップしだし困惑する京太郎。
   京子が戻って来る。
京子「ごめんなさい。ちょっと彼から連絡…」
   険悪になっている真澄と美由紀に困惑している京太郎を目にする京子。
京子「え?何?どうなってんの?」

〇ブルースカイ・中(夜)
   タカコとツバサが爆笑している。
ツバサ「超ウケる!」
タカコ「何なのアンタ、折角の京さんのお見合いをぶっ壊してんのよ」
真澄「別にぶっ壊してなんてない。結果壊われたの」
ツバサ「何言ってんの。同じ事でしょ!」
真澄「でもさ、あの女腹立つんだよ。自分が付き合ってた男がゲイに取られたからゲイの人と反
 りが合わないって。んな事知らんがな!ってかゲイに寝取られるのなんて相手が元々ゲイだっ 
 たか、よっぽど自分に魅力がなかったんじゃねぇのかって思ったわ」
タカコ「へぇ、その見合い相手ゲイに持ってかれたんだ(笑う)ウケる」
真澄「それ言ったらさ、いいえ彼は私の事愛してくれてましたって。誇らしげに言いやがんの。
 笑わせんじゃないよって」
ツバサ「その見合い現場見てみたかったわぁ。超絶な修羅場になってそうで」
タカコ「でもさぁ、ちょっと思ったんだけど」
真澄「何?」
タカコ「何でわざわざ、京さんのお見合いを壊しに行ったのよ」
ツバサ「そう言われたらそうよね…何で?」
真澄「何でって…たまたまコーヒー飲みに行ったら、見合いしててさ。つい…んで、本当の事を
 言ったのにあの女!」
タカコ「やっぱり、アンタ京さんの事好きになってんじゃないのぉ?」
真澄「無い。それは無い」
ツバサ「って言う程、怪しくなってくるんだよねえ」
真澄「ノンケに恋するなら、もうちょっとイケメンな人にしてるよ。髪がもじゃもじゃで、眠た
 そうな目しててさ、何よりもあの偏屈な顔が!」

〇マンション・森川家・ダイニングキッチン(夜)
   京太郎、渉、さくら、京子が食事をしている。
   京太郎のくしゃみ。
京子「ちょっとー大丈夫?風邪?」
京太郎「いや。何だろう。急に誰か噂してんのかな」
渉「真澄さんだったりして」
さくら「間違いないと思います」
京太郎「ちょっと」
渉「それで、お見合いどうだったの?」
京太郎「ま、まぁ…」
京子「まぁ、大変な事になってたわ」
さくら「大変な事とは」
京子「まぁ色々よ…ってか一つ聞きたいんだけど」
京太郎「何?」
京子「真澄さんって、もしかして京太郎の事好きになってるとかじゃないよね?」
   口に含んでいたお茶を吹き出す京太郎。
京子「もう何やってんのよ」
   布巾を京太郎に渡す京子。
京太郎「何って、姉貴が変な事言うからだろ」
京子「だって、わざわざアンタのお見合いに口出して美由紀さん怒らせるまでしてさぁ。もしか
 して京太郎がお見合いするのにヤキモチを妬いてるのかなって思って。それだったら美由紀さ
 んにまずい事したなあ」
京太郎「…」
京子「京太郎さあ、もし真澄さんがアンタの事本気で好きになってたらどうすんのよ」
京太郎「どうすんのよって。急に言われても…」
京子「まぁ、びっくりはするよね。でもこのままにしとく訳にもいかないのよ。どっちか決めな
 きゃね。別に私、アンタが真澄さんを選んでもそれはそれで応援するから」
京太郎「ちょ、ちょっと待って。俺はゲイじないからね。それに真澄さんからそういう告白され
 たわけじゃないし」
京子「あぁ、何かさあアンタばっかりモテてない?」
京太郎「はぁ?」
京子「つまんないわねぇ。私がお見合いしたいくらいだわ。ちょっと誰か男紹介しなさいよ」
うんざりしている京太郎。

〇喫茶店「Rin」・中(朝)
   京太郎が、開店準備をしている。
   美由紀が入って来る。
京太郎「すみません。まだ準備中なんですが…(美由紀を見て)え?」
美由紀「おはようございます」
京太郎「お。おはようございます。ど、どうしたんですか?」
美由紀「どうしたって?見て分かりません?」
京太郎「(首を傾げ)わ。分からないです」
   鞄からエプロンを出し着けだす美由紀。
京太郎「あの…」
美由紀「私、京太郎さんとこのままお付き合い続けてもいいと思ってます」
京太郎「えっ!」
美由紀「昨日会ってまだお互いの事は正直良く分かりません。でも、ここで一緒に働かせてもら
 って、京太郎さんの事知って行けたらなって」
   京子が裏口から入って来る。
京子「おはようー(美由紀を見て)えっ美由紀さんどうしたの?」
美由紀「京子さん」
   京子の所へ行き手を握る美由紀。
美由紀「京子さん、京太郎さんを紹介してくれてありがとうございます」
京子「え?」
美由紀「私、今日からここで京太郎さんの手伝いをさせて頂く事になりました。一緒に働きなが
 ら京太郎さんの事、もっと知って行けたらと思います。宜しくお願いします」
京子「あ、あぁそうなんだ。ちょっと京太郎」
   手招きして京太郎を呼ぶ京子。
京子「ちょっと、どうなってんのよ」
京太郎「こっちが聞きたいよ。急にやってきてさ」
美由紀「あの。何から手伝えばいいですか?」
京太郎「あぁ。じゃあ店の前掃いてきてもらっていいですか?」
   箒と塵取りを美由紀に渡す京太郎。
京太郎「俺、てっきり断りで来たのかと思ったんだけど」
京子「昨日ので、何がどうなって京太郎と付き合い始めたいって思ったのか分からないけど…で
 もまぁいいんじゃない?美由紀さんがそういう気持ちなら」
   店前で掃いている美由紀を見る京太郎。
京太郎「…」

〇同・前・道
   真澄と、斗馬が来る。
真澄「(美由紀を見て)あ。」
斗馬「え?どうしたんですか?」
真澄「何で居んだよ」
斗馬「だから誰ですか…」

〇同・前
   真澄と斗馬が来る。
美由紀「あ…いらっしゃいませ」
真澄「何してるんですか?」
美由紀「何って分かりません?(強調して)ゴミ掃除。してます」
真澄「ここで働く事になったんですか?」
美由紀「えぇ。私、京太郎さんとのお見合い諦めませんし、このままいい関係になって一緒にな
 れたらと思ってます」
真澄「ほぉ、強気だ事」
   真澄と美由紀が顔を見合わせる中、斗馬が良く分からない顔をして立っている。
   そのまま店へ入っていく真澄と斗馬。

〇同・中
   真澄と斗馬が入って来る。
京太郎「いらっしゃいませ。あ、どーも」
   席に着く真澄と斗馬。
京太郎「コーヒーでいいですか?」
真澄「あぁ」
斗馬「あの、今日は京子さんは?」
京太郎「居ます…(カウンターを見て)あ、居ない」
斗馬「何だ居ないんですか…」
京太郎「そんなに、うちの姉が好きなんですか?」
斗馬「はい!」
京太郎「今度会った時、どこか遠くへ連れて行って下さい」
斗馬「え!良いんですか?」
京太郎「むしろ、こっちがお願いしたい」
真澄「ちょっと」
京太郎「はい」
真澄「あの女、何してんの?」
京太郎「何って、急に…お店手伝いますって」
真澄「はぁ?」
京太郎「来た時、きっと断りを言ってくるんだろうって思ってたんですけど、逆に京太郎さんの事
 もっと知りたいので、お店手伝いながら私の事を知っていきたいって」
   鼻で笑う真澄。
真澄「変わってるよなあ。ほんと。どこが良くて」
京太郎「はぁ?良く本人目の前にして、言えますね」
   美由紀が戻って来る。
美由紀「外の清掃終わりました」
京太郎「あ、どうもありがとう」
美由紀「あの」
京太郎「え?」
美由紀「いや、京太郎さんじゃなくて(真澄を見る)」
真澄「え?俺?何?」
美由紀「あまり、京太郎さん苛めないで下さいね」
真澄「はぁ?いつこの人苛めたんだよ」
美由紀「京太郎さんも、何か言われたら私に言って下さいね」
京太郎「え…」
真澄「ちょっと待てよ」
美由紀「嫌です」
真澄「はぁ?」
美由紀「ちょっと、待てと言ったから嫌ですって言ったんです」
真澄「ほんと口の減らない女だなあ」
   立ち上がる真澄。
美由紀「あれ?帰るんですか?」
真澄「違うよ!コーヒー頼んだから早く持って来て!」
京太郎「はい。直ぐ持ってきます」
   立ち上がりカウンターへ行く京太郎に美由紀も付いて行く。
美由紀「京太郎さん、私にもコーヒーの淹れ方教えて下さい」
   京太郎の隣で楽しそうにコーヒーの準備をしているのを見ている美由紀。
   イラついて体が震えている真澄。
斗馬「真澄さん、それ以上イラつくと血圧が…」

〇マンション・森川家・ダイニングキッチン(夜)
   さくらが椅子に座りテーブルに面接結果の封筒を置きじっと見つめている。
   京子が来る。
京子「あ、さくら居た」
さくら「キョンさん、いらっしゃい」
京子「さくら、どうしたの話があるって。あれ京太郎や渉は?」
さくら「二人とも買物に行ってます。後真澄さんも来ます」
京子「え?真澄さんも来るの?」
さくら「はい」

〇同・同・玄関・前(夜)
   買い物帰りの京太郎と渉。
京太郎「さくらも緊張してるだろうな」
渉「うん。合格してるといいけど…」
京太郎「さくらが言うには結構難関って言ってたから、まぁ落選してても、あまり落ち込ませな
 いようにしよう」
   隣の部屋から真澄が出て来る。
渉「あ、真澄さん」
真澄「おぅ渉」
京太郎「こんばんは。これからお出かけですか?」
真澄「まぁ」
京太郎「そうですか。行ってらっしゃい」
   自宅に入ろうとする京太郎と渉に続いて真澄も入って行こうとする。
京太郎「え?」
真澄「何?」
京太郎「いや…お出かけになるんですよね?」
真澄「そうだよ」
京太郎「何故、こちらに」
真澄「(家を指さし)こちらにお邪魔するんですよ」
京太郎「は?」
真澄「お邪魔しまーす。さくらー来たぞー」
渉「さくらが、呼んだのかな?」
京太郎「また、余計な事を」
渉「いいじゃん、真澄さん面白いんだし」
   溜息を付く京太郎。

〇同・同・ダイニングキッチン(夜)
   食卓を囲んでいる京太郎、京子、さくら、渉、真澄。
真澄「何か悪いな俺まで」
さくら「いえ、私がお願いしたので」
京太郎「やっぱり、さくらか」
真澄「え?何か言った?」
京太郎「いいえいいえ!何も言ってません。さくら、中身確認するんだろ?」
さくら「はい」
   手を震わせながら、採用結果の封筒を手に取るさくら。
京太郎「そんなに緊張して大丈夫か?なんならお父さんが」
   京太郎が手を伸ばそうとすると真澄が手を叩く。
京太郎「イテッ!」
真澄「こういうのは本人がちゃんと開けるようにさせなきゃ」
京太郎「…」
   鋏を手に取り封を開けるさくら。
   息を飲む京太郎達。
   中身の採用結果通知を取り出し確認するさくら。
さくら「…」
渉「どうだった?」
京子「さくら、どうなの?」
京太郎「合格だったか?」
真澄「…」
さくら「結果は…」
京太郎「結果は?」
さくら「ご…合格しました…」
   力が抜けるさくら。
渉「マジで?おめでとう!」
京子「さくら!やったね!」
   さくらを抱きしめる京子。
さくら「(涙ぐみながら)ありがとうございます!」
京太郎「(突然)ばんざーい!」
真澄「うわっびっくりした!ってかそういうの古いだろ」
京太郎「何ですか古いって!古くたっていいじゃないですか!娘の合格を喜んで何が悪いんです
 か!」
真澄「悪いとは言ってないだろ。古いって言ってんだ」
京太郎「またそうやって、人のする事にケチつけて」
京子「ちょっと。それ以上はダメよ。今は二人で言い合ってる場合じゃないでしょ」
京太郎「あ、あぁ…さくら本当におめでとう」
さくら「お父さん…ありがとうございます」
   笑顔で頷く京太郎。
真澄「さくら、おめでとう」
さくら「真澄さんも…ありがとうございます」
真澄「さくら、これからちょっと厳しい話をするぞ」
さくら「は、はい…」
真澄「正直に話すと、今ここで喜んでる場合じゃない」
京太郎「ちょっと、いきなり何言うんですか。合格通知が来たって言うのに」
真澄「ちょっと、黙っててくんないかな?」
京太郎「…」
真澄「この合格通知は、やっとまゆ原すず子さんと面談を受けるという事が出来たんだ。会って
 面談をしてもしそこで落とされたら今までの努力が水の泡だ」
さくら「はい」
真澄「だから、気を緩ませるな。今やっとスタートラインに立った所なんだからな。そこで面談
 でも合格して一緒に仕事をする事になったら、もっと苛酷な事が待っている。制約とかあるか
 ら自分が思い描いてるような事がいつも仕事として出来る訳じゃない。読者の要望とかにも応
 えて臨機応変に対応していかないといけない。作家ってそういう所も受け入れてやっていかな
 いといけないんだ。俺はさくらの家族でもないし他人だから敢えてちょっと冷たい事言っちゃ
 ったけど、応援はしてるぞ」
さくら「真澄さん…ありがとうございます」
真澄「礼、言われる事なんてしてねぇよ。まぁ家族の皆がおめでとうって言ってくれたんだか
 ら、その言葉ちゃんと大切にするんだぞ」
   笑顔で頷くさくら。
真澄「何か湿っぽくなっちゃったな。悪い、俺失礼するわ」
京太郎「あ、どうぞ。このままご飯食べるので一緒に」
真澄「え?」
京太郎「真澄さんの話を聞いて、まぁそれも一理あるかなって思いましたから」
真澄「何か、京ちゃんにそんな事言われるとちょっと調子狂っちゃうなあ」
京太郎「えぇ?」
真澄「だってさいっつも俺が言う事にいちいち突っかかってくるじゃん?」
京太郎「ちょ、ちょっと待って下さいよ」
真澄「嫌だね」
京太郎「はぁ?」
真澄「いいですかって聞いてきたから嫌だって言ったんだよ」
京太郎「出た偏屈!しかもそれ貴方、美由紀さんに言われてたやつじゃないですか」
真澄「あっ言ったな!今一番聞きたくない名前言ったな!」
渉「これ、また始まった?」
さくら「ですね…」
京子「はいはいはい。二人共ここでストップ。折角いい感じにお互いなってたのに結局言い合っ
 てるじゃない」
   呆れる京子。
   京太郎と真澄、気まずくなる。
京子「さくらの報告も終わったし、ご飯食べよう。お腹空いちゃった」
京太郎「あ、あぁすぐ準備する。今日はカレーライスだから」
さくら「私、手伝います」
渉「さくら、今日はいいよ。主役みたいなもんだろ。俺手伝う」
京太郎「頼むよ」
   京太郎と渉がキッチンへ行く。

〇同・同・玄関・前(夜)
    京太郎の家から真澄が出て来る。
真澄「じゃあ、ご馳走様でした」
京太郎「おやすみなさい」
真澄「おやすみ」
   ドアを閉め、自分の家に帰ろうとする真澄。
   渉が自宅から出て来る、
渉「真澄さん」
真澄「ん?渉、どした?」
渉「あの…ちょっとお願いがあって」
真澄「何だよ?」
渉「うん…」
真澄「どしたんだよ?何かあったのか?」
渉「連れて行って欲しい所があるんだ」
真澄「どこに?もうまどろっこしいなあ」
渉「ごめん。もう一度二丁目に行ってみたいなって」
真澄「何だ、そんな事か。別に構わないけど俺と一緒でいいのか?一人じゃなくて」
渉「一人で行くのはまだハードルが高くて」
真澄「(笑って)そうか。分かった、じゃあ今度時間作って行こう」
渉「うん!」
真澄「よし、じゃあおやすみ」
渉「おやすみなさい!」
   嬉しそうに家に戻っていく渉を見ている真澄。
   真澄もフッと笑って自分の家に戻っていく。

   
   続。

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