XenoMessiaN 第5界 ダイギャクサツ SF

【あらすじ】 東京の街に突如出現した凶悪な罪獣バビロンに立ち向かった巨人の正体は愛に飢えた青年だった。 皆が憧れるヒーローのように活躍すればまだ知らぬ愛を得られると意気込み奮闘するのだが…… これは現実から目を背けながらも一方的に他者からの愛を待ち続ける者たちの物語。
甲斐てつろう 22 0 0 08/13
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第一稿

【主な登場人物】
創快:主人公の高校生
瀬川抗矢:快の友人
与方愛里:快のクラスメイト
河島咲希:愛里の友人
横山純希:バイト先で再会した苛めっ子
名倉雄介:Conne ...続きを読む
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【主な登場人物】
創快:主人公の高校生
瀬川抗矢:快の友人
与方愛里:快のクラスメイト
河島咲希:愛里の友人
横山純希:バイト先で再会した苛めっ子
名倉雄介:Connect ONE実働部隊隊長
陽・ドゥブジー:Connect ONE実働部隊隊員
早川竜司:Connect ONE実働部隊隊員
茜蘭子:Connect ONE実働部隊隊員
ルシフェル:謎の男、罪獣のような姿に
ゼノメサイア:快が変身した巨人

その他



○河島家 真っ暗な空間
  河島咲希(17)、苛立っている。
咲希「デートとかふざけないでよっ!」

○回想 咲希と愛里の通話
愛里「純希くんにお出掛け誘われてさ、行く事
 にしたんだ」
咲希「え、それってデートじゃん!」
愛里「そうなのかな? でも断る理由ないし私
 ももっと話してみたいし……」
咲希「はぁ? 会ったばっかでしょ?」
愛里「純希くんってレスキュー隊目指してるっ
 て言ってたでしょ? なんか英美ちゃんと重
 なってさ……」

○河島家 真っ暗な空間
  咲希、歯軋りする。
咲希「また英美……!」
  ルシフェル(?)、椅子に座っている。
ルシフェル「別に良いじゃねーかお前は女なん
 だしよぉ」
咲希「それでも……愛里は大事な存在なのっ」
ルシフェル「あぁ、ヤツは愛の鍵だ」
咲希「阻止しなきゃ、アンタのためにもね」
ルシフェル「聖杯のためにも?」
  ルシフェル、ニヤニヤしている。
  背後に聳える巨大な聖杯を指した。
ルシフェル「この聖杯を満たす程の愛、培って
 もらわねぇとなぁ」
咲希「そうだよ、それさえ乗り越えれば……」
  咲希、深呼吸する。
咲希「愛里と永遠に一緒に居られる……!」
  ルシフェル、立ち上がり空間から出ようと
  する。
ルシフェル「ま、頑張れよ」
咲希「ちょっと、何処行くつもり?」
ルシフェル「お前が直接手ぇ出す訳にも行かね
 ねーだろ、手ぇ貸してやる」
  ルシフェル、舌を出して嗤い出て行く。
  咲希、扉を見つめながら身震いした。
咲希「……嫌な予感がする」

○メインタイトル
【XenoMessiaN 第5界 ダイギャクサツ】

○高校 渡り廊下
  瀬川抗矢(17)、大声で驚く。
  創快(16)、静止する。
瀬川「はぁ? 純希と与方さんがデート⁈」
快「しー! 声がデカいって……」
  瀬川、一度落ち着く。
瀬川「マジなのかよそれ」
快「明日、高円寺で遊ぶんだって」
瀬川「うわぁ、てか純希のどこが良いのかね」
快「嫌な事はして来なくなったけどさ……」
瀬川「てかお前何で残念そうなんだ? やっぱ
 与方さんの事……」
快「いやっ、そんなんじゃ……」
瀬川「分かりやすいな……」
快「まぁ、だったら尚更さ……」
瀬川「喜ばしくねぇのは確かだな」
  瀬川、決心する。
瀬川「よし、行くぞ!」
快「どこに?」
瀬川「尾行だ」

○高円寺 駅前(日替わり)
  愛里、お洒落をしてガラスに映る自分を見
  る。
  細かく前髪などをチェックしていた。
  そこで愛里、咲希との通話の先を思い出
  す。
咲希(回想)「創はどう思うだろうね……」
  愛里、少し考える。
愛里「別に快くんはそんなんじゃ無いし……」
  横山純希(17)、そこにやって来る。
純希「お、愛里ちゃん?」
愛里「あ、純希くん……」
純希「めっちゃお洒落してくれてんじゃん、可
 愛くてビックリした」
愛里「本当に? よかったぁ」
  快と瀬川、近くのベンチに座り様子を見て
  いた。
瀬川「うわぁやってるわぁ」
快「いつにも増してお洒落してるなぁ……」
瀬川「ピアス開けて髪染めて、ザ・陽キャだな」
快「純希のためのお洒落なんだよなぁ……」
  快は愛里、瀬川は純希の感想を言う。
瀬川「おい、あんま卑屈になるなよ」
快「分かってるけどさ」
瀬川「与方さんがお前に優しいのは変わらない
 からな、絶対」
快「うん……」
  瀬川、明らかに落ち込む快に何か言いかけ
  る。
  しかし愛里と純希、移動を開始した。
瀬川「あ、移動するぞ」
  快と瀬川、立ち上がり着いていく。

○高円寺 服屋
  愛里と純希、服を見ている。
愛里「あ、これ可愛いー」
純希「絶対似合うよそれ!」
  快と瀬川、服屋のガラス窓から見ていた。
瀬川「絶対何でも似合うとか言ってるやつだぞ」
快「典型的だな……」
  快、愛里の笑顔を見て口角が下がる。

○高円寺 アクセサリーショップ
  愛里、十字架のイヤリングを見ている。
  純希、機転を効かせる。
純希「すみません、これ下さい」
  純希、店員を呼ぶ。
愛里「え、いいのに!」
純希「良いんだよ、カッコつけたいんだ」
愛里「わぁ、ありがとう……」
  純希、イヤリングを購入に愛里につけてあ
  げる。
純希「ホラ、よく似合ってる!」
  快、純希が愛里の耳を触るのを見てしまっ
  た。

○高円寺 道
  愛里と純希、歩きながら会話をしている。
  快と瀬川、少し離れた後ろを着いて行く。
愛里「あはは、おもしろーい!」
  愛里、楽しそうに笑う。
  瀬川、飽きたようで。
瀬川「つまんね、何も起こんないから帰るわ」
快「え、マジで?」
瀬川「お前も適当に切り上げて帰んな、尾行は
 立派な犯罪ですよー」
  瀬川、ポケットに手を突っ込み帰る。
快「ちょ……」
  快、取り残される。
  再度愛里の顔を見た。
快「……俺にはあんな笑顔見せてくれない」
  快、振り返り帰路につく。
快「帰ろう……」

○高円寺 広場
  愛里と純希、ベンチに座る。
愛里「ふぅ、いっぱい歩いたねー」
純希「歩かせちゃったね」
  × × ×
  愛里と純希、会話をしている。
純希「前に話したけどレスキュー隊目指してる
 んだよね」
愛里「うん、人助けしたいなんて凄い立派だと
 思う」
純希「確かに凄い褒めてくれたもんね」
  純希、きっかけを語り出す。
純希「中学の頃ビルの火災に巻き込まれた事あ
 ってさ、レスキュー隊の人がカッコよくて憧
 れたんだ」
  愛里、少し涙ぐむ。
純希「え、大丈夫?」
愛里「あ、目にゴミが……」
純希「本当に……?」
愛里「えっとね、前に言ったヒーローの友達を
 思い出しちゃって……」
純希「あぁ言ってたね」
愛里「罪獣の影響で死んじゃったんだ……」
純希「え、マジで……?」
愛里「うん、最初の時にね」
純希「ねぇ愛里ちゃん」
愛里「ん?」
純希「罪獣が憎いとは思わない……?」
愛里「うーん……」
純希「大勢亡くなってさ、遺族の事とか考える
 と辛くなって……俺も火災の時に怖さを味わ
 ってるから……」
  愛里、真剣な眼差しで答える。
愛里「憎んでなんかないよ」
純希「本当に……?」
愛里「英美ちゃんは人助けしようって自分から
 飛び込んで行ったんだ、それで快くんが救わ
 れた。そして心も受け継がれてる、だから私
 も応援するんだ!」
純希「なるほど、快も退けなくなっちまった
 な。でも俺にも責任が……」
  純希、責任を感じてしまう。
純希「俺さ、小学校の頃に快と同じクラスで。
 少し快のこと揶揄ってたんだ……」
愛里「そうだったんだ……」
純希「そんな時にアイツは両親を亡くした、目
 の前で通り魔に殺されて……」
愛里「うそ……」
純希「でも今更揶揄うのはやめられなくて……
 酷いこと言っちまったんだ。そんで中学で
 別々になってバイトで再会したんだけどさ、
 めっちゃ暗くなってた……」
愛里「そう、なんだね……」
純希「何とか明るくしようとしてもやっぱ避け
 られてる感じするし、謝るチャンスも中々な
 いからな。そこで愛里ちゃんにお願いがあっ
 て」
愛里「お願い?」
純希「アイツのこと支えてやって欲しい。俺よ
 り君の方が適任だ」
愛里「もちろんだよ、応援してね」
純希「ありがとう。でも俺の事も構って欲しい
 なぁ」
愛里「ふふっ、そうだよね!」

○高円寺駅 裏路地
  ルシフェル、歩いている。
ルシフェル「ヒヒヒ……」
  ルシフェル、近くに背の高い外国人が立っ
  ているのを見つける。
ルシフェル「お、いいカモ見っけ」
  ルシフェル、外国人の背後から肩を叩く。
ルシフェル「ヘイブロ、体貸せよ」
  ルシフェル、外国人が振り返った途端に倒
  れる。
  そして意識を外国人の体に移した。
外国人「ぐっ、がぁっ……」
  外国人、ルシフェルに乗り移られる。
ルシフェル「ヒヒヒ……」
  ルシフェル、外国人の体を使いニヤリと笑
  った。

○高円寺駅 駅前通り
  ルシフェル、人通りが多いのを確認する。
  ど真ん中で立ち止まった。
ルシフェル「よぉしいっちょやるか」
  ルシフェル、ポケットから拳銃を取り出
  す。
  通行人、外国人の姿をしたルシフェルを見
  る。
通行人1「あの人、銃持ってるよ」
通行人2「玩具だろ、流石に」
  ルシフェル、ニヤリと笑った。
ルシフェル「よし、スタート」
  そのままルシフェル、引き金を引く。
  弾丸が放たれ先にいた通行人、脳天を貫か
  れ倒れた。
  通行人たち、一瞬動きが止まる。
  そのまますぐに叫び声を上げた。
通行人「きゃぁぁぁ!」
  ルシフェル、次々と通行人を撃っていく。
  人々の悲鳴を聞いてルシフェルは更に口角
  を上げた。
ルシフェル「ヒヒィ!」

○高円寺 広場
  愛里と純希、異変に気付く。
愛里「え、何……?」
純希「悲鳴?」
  大勢の人々、押し寄せて来る。
愛里「え、え……?」
  純希、愛里の手を取り走り出した。
純希「なんかヤバい、逃げよう!」
  愛里、純希に手を引かれながら走る。
  愛里、初めて罪獣が出た日の光景がフラッ
  シュバックしてしまう。
愛里「英美ちゃんっ……」
  すると隣にいた人が撃たれる。
  純希、それを見て思い付く。
純希「愛里ちゃん、死んだフリだ!」
  純希と愛里、群衆が通り過ぎたタイミング
  で倒れて死んだフリをする。
  純希と愛里、息を殺す。
  ルシフェルの足音が響く。
ルシフェル「ヒヒヒ……」
  ルシフェルの笑い声が愛里にも聞こえた。
ルシフェル「デカい恐怖だけだと思うなよ?」
  そのまま足音は過ぎ去って行った。
  純希、起き上がる。
純希「こんな短期間に二度も死ぬような思いす
 んのかよ……」
  愛里、起き上がれない。
純希「大丈夫……⁈」
  純希、愛里に駆け寄る。
  愛里、泣いていた。
愛里「うぅっ……」
  純希、愛里の背中を優しく撫でる。
純希「もう大丈夫だから……」
  愛里、少しずつ起き上がる。
  すると他にも生きていた人の声が聞こえ   
  る。
怪我人「ううっ……」
純希「大丈夫ですか⁈」
  怪我人、肩から血が流れている。
  純希、ハンカチを押し当て止血した。
純希「愛里ちゃん救急車よんで! もう出動し 
 てるかもだけど!」
愛里「う、うん……!」
  愛里、スマホで119に電話をする。
愛里「救急車も警察も向かってるって! 応急
 処置したらそれ以上動かさないようにだっ
 て!」
純希「ありがと!」
  純希、他の怪我人を救い続ける。
  × × ×
  純希、その場にいた怪我人の応急処置を終
  える。
  愛里、そんな純希を見ていた。
純希「ん、どうした?」
愛里「ううん何でも! ただ凄いなと思っただ
 け……」
純希「そんな事ない、きっとさっき聞いた友達
 の方が凄いよ」
愛里「でも十分だよ、こんなに沢山の人を助け
 て」
純希「はは、何か照れ臭いな」
  純希、一息ついて背伸びをする。
  視線の先にホテルを見つけた。
純希「ふー、落ち着いたらトイレ行きたくなっ
 て来たな」
  純希、立ち上がりホテルに入って行く。

○高円寺 ホテルのトイレ
  純希、小便器で用を足す。
  すると背後の個室から音が聞こえる。
純希「何だ……?」
  純希、個室を覗く。
ルシフェル「んお?」
  ルシフェル、外国人の体から脱皮するよう
  に出てきた。
ルシフェル「何見てんだスケベ」

○電車内
  快、吊り革に掴まり電車に揺られている。
  スマホでニュースを見る。
記事『高円寺で銃乱射事件発生』
  快、冷や汗を流す。
アナウンス『次は荻窪ー』
  快、電車から降りて走った。

○高円寺 付近
  快、走って高円寺の前までやって来る。
  多くの人が集まっており警察が数名立って
  いる。
  立ち入り禁止のテープが張られていた。
  快、そのテープを飛び越える。
警察「ちょっと! 立ち入り禁止です!」
快「ごめんなさい!」
  快、奥へと走っていく。
  
○高円寺 現場
  快、惨状を目の当たりにし立ち止まる。
快「うっ……」
  快、吐きそうになり口を押さえた。
  しかし堪えてまた走り出す。
快「どこだぁー! 返事してくれぇ!」
  するとスマホに着信が入る。
  快、画面を見ると画面には愛里の名が。
  快、慌てて応答する。
快「もしもし⁈」
ルシフェル「愛里ちゃんかと思った? 残念、
 ルシフェルちゃんでしたー!」
  快、愛里の連絡先からルシフェルの声が聞
  こえて絶句してしまう。
ルシフェル「分からねぇか? 俺だよ、やった
 の!」
快「でも何で与方さんの電話に……?」
ルシフェル「さん付けとか初々しいなおい!」
  ルシフェルの笑い声が電話越しに聞こえ
  る。
ルシフェル「心当たりねぇか? お前が目的な
 んだよゼノメサイア!」
  快、一瞬で背筋が凍る。
ルシフェル「正直お前に関しては俺も把握し切
 れてねぇ、だからどれ程のもんか試してやろ
 うと思ってな!」
快「まさか俺を誘き出すために……?」
ルシフェル「ピンポーン大正解だ!」
快「そんな……」
ルシフェル「メンタルの方はダメみたいだな、
 弱い方が俺にとっては都合がいい」
  快、スマホに通知が来て驚く。
ルシフェル「今そっちに写真送った、見てみろ」
  快、写真を確認する。
快「そんな!」
  写真には椅子に縛り付けられる愛里と純希
  の姿が。
  手前でルシフェルが笑顔でポーズを決めて
  いる。
ルシフェル「どうだ、なかなか盛れてるだろ?」
快「無事、なんですか……?」
ルシフェル「敬語とか! どんだけ弱いんだ!」
  ルシフェル、高笑いを上げる。
ルシフェル「安心しな無事だ、今からお前には
 コイツらのヒーローになってもらうぜぇ」
  スマホに再度通知が。
ルシフェル「位置情報を送った、そこに来な」
  快、通話を切り位置情報を確認。
  すぐさま走り出す。

○高円寺 ホテルのレストラン
  快、勢いよく扉を開ける。
  すぐ前方にルシフェルと縛られた愛里と純
  希の姿が。
ルシフェル「待ってたぜ創快!」
  ルシフェル、両手に拳銃を持ち愛里と純希 
  の両方の頭に突きつけている。
快「与方さん!」
  愛里と純希、気絶しているようで反応がな
  い。
ルシフェル「お前の事だからビビって逃げちま
 うんじゃねぇか心配だったぜ。でもお前はち
 ゃんと来た、そこは評価してやろう」
快「さっきヒーローになれって、何が目的です
 か! てか何者ですか、何で俺の正体知って
 るんですか!」
ルシフェル「んーどこから話そうかな」
  ルシフェル、自身の正体を語る。
ルシフェル「俺は天使だ、つまり神側の存在。
 大体の事情は最初から把握してる訳よ」
快「え……?」
ルシフェル「だが神は俺を罪人とか言って堕と
 しやがった! 全くムカつく野郎だ、這い上
 がってその座を奪ってやる!」
  ルシフェル、怒ったと思えばまたニヤリと
  笑う。
ルシフェル「それが俺の夢だ」
  ルシフェル、そのまま快に警告する。
ルシフェル「お前のその力が欲しいんだ。お前
 のためにもなるんだぜ?」
快「何を……」
ルシフェル「愛されたいんだろ? じゃあゼノ
 メサイアで在り続けるのはオススメしねぇ、
 存在し続けたいならな」
快「何、言ってんすか……」
ルシフェル「細けぇ事は知らなくて良い、お前
 にこの役目は身に余るからな」
  ルシフェル、両手の銃を天に掲げる。
ルシフェル「じゃあ始めようか、永い刻の中で
 お前みたいなヤツは初めてだからな!」
  ルシフェル、再度銃を愛里と純希の頭に突   
  きつける。
ルシフェル「どっちを救うか選びな。好きな女
 と嫌いな男、簡単だろ?」
快「そんな……!」
  快、衝撃で目を見開く。
  膝から崩れ落ちてしまった。
ルシフェル「早く選べよー? それともアレ
 か? どっちも救うとか言う神プレー見せる
 か? ってお前には無理か、ヒャハハ!」
  快、首から下げるグレイスフィアに手を伸
  ばす。
  ルシフェル、途端に快に銃を向けた。
  真剣な表情に一変する。
ルシフェル「そりゃナシだ、変身した瞬間どっ
 ちも殺す」
  ルシフェル、またすぐにニヤリと笑う。
ルシフェル「お前自身の力を見せてくれよなぁ」
  快、愛里と純希を交互に見ては項垂れる。
  歯がガタガタと震えていた。
快「何でこんな事するんだよぉ……」
ルシフェル「言ったろ、お前がどんなヤツか試
 すんだ。行動次第では俺が超喜ぶぜ?」
  快、震えながらも答えた。
快「二人とも助けて下さいっ、殺るなら俺をっ」
  ルシフェル、一瞬で真顔になる。
ルシフェル「そういうの良いから、冷めるんだ
 けど」
  ルシフェル、愛里と純希の頭により強く銃
  を押し当てる。
ルシフェル「ホラどっちだ、選べよ!」
  愛里、静かに目を覚ます。
愛里「ん……」
  愛里、ルシフェルの言葉を聞いて状況を察
  する。
ルシフェル「さっさと選べよ、待つのは退屈だ
 ぜ?」
  愛里、快が俯いているのを見る。
ルシフェル「えーらーべ、選べっ!」
  快、ゆっくりと立ち上がる。
快「……決めたよ」
  快、歩いていく。
ルシフェル「どっちだ? 救う方の縄を自分で 
 解きに来い」
  快、純希の顔を見る。
快「ごめん純希……」
  快、愛里の方へ向かった。
ルシフェル「おーやっぱそっちか! いいね、
 こーゆーの見たかったんだ!」
快「ごめん、ごめんなさい……」
  快、愛里に近付く。
  すると愛里の声が聞こえる。
愛里「お願い、純希くんを選んで」
  快、目を見開いた。
快「え、何言ってんだよ……」
愛里「私より純希みたいな人がこの世には必要
 なの……」
  愛里、人命救助する純希の姿を思い出す。
愛里「英美ちゃんと同じヒーローだからっ」
  ルシフェル、高笑いを上げた。
ルシフェル「ギャハハ! コイツのどこが……」
  ルシフェル、純希の方を指差した。
  しかし純希はいない。
ルシフェル「あ?」
  純希、ルシフェルの背後から椅子を叩きつ
  ける。
純希「おぉぉっ!」
ルシフェル「ぁがっ⁈」
  ルシフェル、頭部から血を流し倒れる。
  銃も落としてしまった。
  純希、愛里を縛る縄を解きに来る。
愛里「純希くん何でっ⁈」
純希「気絶したフリして少しずつ解いた!」
  純希、もう少しで縄を解けそうだ。
  快、圧倒され見ている事しか出来ない。
  ルシフェル、ゆっくり純希の背後で立ち上
  がる。
快「後ろ!」
  快、叫ぶが遅かった。
  ルシフェル、後ろから純希の首を掴む。
  そのまま持ち上げた。
ルシフェル「おい、よくも台無しにしてくれた
 な」
純希「ぐぐぐっ」
ルシフェル「どうしてくれるんだ、俺の夢を!」
  純希、少しずつ振り向き手を後ろに伸ばし
  ルシフェルの首を絞めた。
純希「快っ! 今のうちに愛里ちゃんを!」
快「あっ、あぁ!」
  快、急いで愛里の所へ行き縄を解く。
快「よしこれで……!」
  快、愛里の手を取り逃がそうとした。
愛里「待って、純希くんは⁈」
快「まず君を安全な所にっ」
  ルシフェル、慌てて純希を地面に叩きつけ
  る。
純希「がはっ」
ルシフェル「ふざけやがって……!」
  ルシフェル、銃を一丁広い快に向ける。
  愛里だけがそれに気付いた。
愛里「危ないっ!」
  愛里、前に乗り出す。
  ルシフェル、引き金を引く。
  放たれた弾丸は愛里の肩に命中した。
快「え……?」
  快、振り返ると愛里の肩から血が流れてい
  る事に気付いた。
愛里「ぅ、あ……」
  愛里、地面に倒れる。
  ルシフェル、焦った。
ルシフェル「やべぇ、やっちまった……!」
  快、絶望して叫ぶ。
快「あぁぁぁっ!」
  グレイスフィアが輝いていた。
  快、グレイスフィアを手に取り変身する。
ルシフェル「チクショー訳分かんなくなっちま
 ったじゃねーか!」
  ルシフェル、全身に力を込める。
  そのまま体を巨大化させ変身した。
ルシフェル「責任、取ってもらうぜぇ!」
  ゼノメサイアとルシフェル、互いに変身し
  た。

○高円寺 街中
  ルシフェル、罪獣のような姿となり雄叫び
  を上げる。
ルシフェル「うぉぉぉっ!」
  ゼノメサイア、右手に愛里と純希を乗せて
  いる。
  そのまま一度飛び上がり二人を安全な所に
  移した。
ルシフェル「おらっ!」
  ルシフェル、口から火球を放つ。
  それはゼノメサイアの背中に命中した。
快「熱っ」
  それほど威力は無かったがゼノメサイア、
  地面に置いた愛里と純希を見る。
  飛び上がり彼らから距離を置きルシフェル
  と睨み合った。
ルシフェル「おぉっ!」
  ゼノメサイアに向かい走り出すルシフェ
  ル。
  ゼノメサイアも構えを取り応じた。
ルシフェル「おらっ!」
  ルシフェル、右拳でパンチを繰り出す。
  ゼノメサイア、避けるが体勢が崩れたタイ
  ミングでルシフェルは尻尾を振りゼノメサ
  イアを転倒させた。
快「ぐっ……」
  ルシフェル、ゼノメサイアが倒れた所に爪
  を突き立てるがゼノメサイアは両手でそれ
  を押さえる。
  ルシフェル、その隙を狙い口から火球を放
  った。
快「ぁがぁぁぁっ」 
  ゼノメサイアの顔面に火球が直撃。
  顔が少し焦げてしまう。
  悶えるゼノメサイア。
ルシフェル「おいおい、もう終いかよ?」
快「まだだっ……」
  ゼノメサイアとルシフェル、テレパシーの
  ようなもので会話をする。
  ゼノメサイア、力を振り絞り立ち上がる。
  そのままルシフェルの方へ走った。
  ゼノメサイア、攻撃を繰り返すがルシフェ
  ルは簡単に避ける。
快「クソッ、クソォ!」
  ゼノメサイアのパンチがようやくルシフェ
  ルの腹部に当たる。
  しかし効いていない。
ルシフェル「あ? こんなもんかよ!」
  ルシフェル、ゼノメサイアの顔面を掴み隣
  のビルに叩きつけた。
快「ごふっ……」
  ゼノメサイア、力を失くして倒れてしま
  う。
  しかしすぐに立ち上がる。
快「ダメだ、俺はヒーローにっ!」
  ゼノメサイア、力任せに突っ込んで行くが
  ルシフェルは思い切りゼノメサイアを蹴飛
  ばした。
  ゼノメサイア、吹き飛ばされ倒れる。
快「嫌だ、このまま何も出来ないなんて……」
  ゼノメサイア、立ち上がる。
快「何でこんな辛い事ばっか!」
  ゼノメサイア、右拳にエネルギーを溜め
  る。
ルシフェル「お、アレやるか?」
  ルシフェルもエネルギーを溜める。
  ゼノメサイア、ライトニング・レイを放   
  つ。
  ルシフェルは口から高威力の熱線である天
  翔熱波を放った。
快「おぉっ⁈」
ルシフェル「ギャハハ、どうしたぁ⁈」
  ゼノメサイアの攻撃、押されている。
  そのままゼノメサイア、押し負けてしまっ
  た。
快「グァァァッ!」
  ゼノメサイア、吹き飛び激痛でのたうち回
  る。
ルシフェル「おいおい、この程度で終わるのか
 ぁ?」
快「やめろ! まだ終わりたくないっ!」
  ルシフェル、それを無視し近付く。
  快、鼓動が速くなり息も荒かった。
快「はぁっ、嫌だ……」
  快、力任せに叫んだ。
快「嫌だぁー!」
  ゼノメサイア、目を閉じる。
  次の瞬間、爆発音が響いた。
快「え……?」
  目を開けるとルシフェルの背中が燃え上が
  っている。
  ルシフェルの背後から紺色の戦闘機がやっ
  て来た。
  パイロットの陽・ドゥブジー(26)、ルシフ
  ェルを煽る。
陽「喰らいやがれ堕天使が!」
  更に増援がやって来る。
  巨大な車が地面を駆けて行く。
  パイロットの早川竜司(25)、楽しむ。
竜司「俺も!」
  竜司の乗る車、跳び上がりルシフェルに散
  弾を当てた。
  背後から母艦のようなものがやって来る。 
  そこに乗るオペレーターの茜蘭子(24)、無
  線で竜司に注意する。
蘭子「前出すぎだっつーの!」
竜司「ごめんごめん、初出動だからさ」
  ルシフェル、焦る。
ルシフェル「チッ、とうとう来ちまったか」
  そこへ巨大な戦車がやって来る。
  そのパイロット、名倉雄介(30)は無線で指
  示を出した。
名倉「目標を捕捉、これより駆逐に当たる」
  陽、竜司、蘭子、名倉。
  それぞれ覚悟を決めた。
名倉「Connect ONE実働部隊TWELVE、任務
 を遂行します」
  そう名乗った彼らはルシフェルと戦うのだ
  った。

                つづく

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