アリスの螺旋 第一話 ドラマ

『アリスの螺旋』- Alice’s Revengeあらすじ 一卵性双生児の姉妹、鈴木亜里香(すずき・ありか)と鈴木有栖(すずき・ありす)。 年金暮らしの老夫婦に大切に育てられたふたりは、慎ましくも穏やかな日々の中で、深い絆を育んでいた。 姉・有栖は献身的な看護師、**城前貴大(しろまえ・たかひろ)**と婚約。 妹・亜里香は、日本のトップに立つ内閣総理大臣・**隼 総希恵(はやぶさ・きえ)**の次男、**隼 総瑛二(えいじ)**と密かに愛を育んでいた。 だが、名家である隼家にとって、亜里香の出自は
片山 沙羅 20 0 0 08/05
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第一稿

『アリスの螺旋』
第1話「運命の幕開け」 Part 1
オープニング・シーン
夜の山道・雨が降りしきる中、有栖が歩いている。
そこに現れた黒い車。運転席には隼希絵(稲森いず ...続きを読む
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『アリスの螺旋』
第1話「運命の幕開け」 Part 1
オープニング・シーン
夜の山道・雨が降りしきる中、有栖が歩いている。
そこに現れた黒い車。運転席には隼希絵(稲森いずみ)。
有栖(吉川愛)
「……なぜ、こんなところに?」

希絵(低い声で)
「あなたには消えてもらうわ。——私の人生を壊す前に。」

(車が加速し、有栖に衝突。有栖の悲鳴とともに画面が暗転)

シーン2:大学の春
3月上旬・キャンパスの桜並木。
有栖と亜里香(どちらも吉川愛・二役)は、手を取り合いながら歩いている。
有栖
「私たちはいつまでも、双子で親友。」

亜里香(微笑みながら)
「絶対、離れない。」

そこへ、城前隆弘(鈴木伸之)が登場。

隆弘
「有栖ちゃん!」

(有栖に駆け寄って抱きつこうとする隆弘を、亜里香が止める)

亜里香(拗ねた様子で)
「お姉ちゃんは私のものなのに…。
いつもお兄ちゃんは、お姉ちゃんを奪っていった!」

有栖(優しく)
「亜里香ちゃん、今日は隆弘さんとデートなの。」

隆弘(からかうように)
「お姉ちゃん、借りてもいいですか?」

亜里香
「ふーん、いいよ。でもまた私ひとりなんだから!」

有栖(ウィンク)
「またね!」

シーン3:ペットショップ(バイト先)
バスに揺られてペットショップ到着
亜里香
「おはようございます!」

浅野店長
「おはよう。今日もよろしくな!」

(白いトイプードルの毛を刈っている店長の横に、見覚えのある人物)

瑛二(水上恒司)
「おはよう、亜里香ちゃん!」

亜里香(驚き)
「えっ、今日シフト休みじゃなかった?」

浅野店長
「どうもな、こいつは学校よりバイトに出たいらしい。」

瑛二
「大学の政治コースなんて、正直どうでもいいんだ。
ここで犬と一緒にいた方がよっぽど癒されるよ。」

浅野店長(ニヤリ)
「……それとも鈴木さんに会いたいからか?」

(瑛二が照れながら、亜里香に抱きつこうとする)

亜里香(逃げながら)
「ちょ、犬くさいから離れて!!」

シーン4:ファミレスでの食事
仕事終わり、2人でファミレスへ。
瑛二:ペペロンチーノ+サラダ+スープ
亜里香:ハンバーガー+ポテト

(瑛二がエビを避け、亜里香に差し出す)

瑛二
「エビ、かわいそうだから食べられない……。家族もいるのに……。」

亜里香(食べながら)
「ほんとにベジタリアンなんですね。魚介類もだめ?」

瑛二
「うん。小さい頃、アヒルのビンキを飼ってて……
母がそれを料理に出したのを見てから、何も食べられなくなった。」

亜里香(しんみり)
「そんなことが……。タンパク質どうしてるの?」

瑛二(明るく)
「豆腐、チーズ、ヨーグルト、牛乳!パンも食べてるし!」

亜里香
「ふふ、相変わらず頑固。」

(ふいに、瑛二が話題を切り替える)

瑛二(急に真剣な目)
「明日、僕の母に会いに行かない?紹介したいんだ。」

亜里香(びっくりして)
「えっ!?お母さんって……」

瑛二(さらっと)
「内閣総理大臣、隼希絵だよ。」

亜里香(絶句)
「……え、総理大臣!?!?」

シーン1:夕暮れのアパート・キッチン
鈴木家の小さなキッチン。ほのかにシチューの香り。
亜里香(靴を脱ぎながら)
「ただいまー!……あれ、有栖お姉ちゃん、さっき帰ったばかり?」

有栖(鍋をかき混ぜながら)
「うん、隆弘さんとのデートから帰ってきたところ。今、夜勤に向かったわ。同僚が急に体調を崩したみたいで、代わりに出勤してるの。」

亜里香(感心しながら)
「さすが、勤勉なお兄ちゃん。偉いなぁ〜!」

有栖(にっこり)
「……はい、クリームシチューできたよ」

亜里香(苦笑い)
「ごめん、実はさっき外で食べちゃった」

有栖(しゅんと)
「そっか……ごめんね」

亜里香(笑って)
「謝るのはこっちでしょ〜!……ってことで、食べるよ。
お姉ちゃんの料理は別腹なんだから!」

(2人でシチューを囲みながら)

シーン2:姉妹の夜の語らい
有栖は頬を赤らめ、薬指の婚約指輪を見つめる。
亜里香(ニヤニヤ)
「お幸せに〜! 結婚式は今年だっけ?」

有栖(小さくうなずき)
「うん……式を挙げる前にね、本当の両親に会えたらなって思ってるの。生きてることに感謝を伝えたいなって」

亜里香(少し目を伏せて)
「うん……私も。でも、育ててくれた鈴木のおじいちゃんおばあちゃんにも感謝してるよ。
お姉ちゃんがバージンロード歩いてるの、もし両親が見てたら……きっと泣いちゃうな」

有栖(涙ぐむ)
「……ありがとう、亜里香ちゃん」

亜里香(少し寂しそうに)
「でも、私は一人になっちゃうなあ。
お姉ちゃんの子どもを、叔母さんとしていっぱい甘やかしてやる!
私は老いた乙女でいいの」

有栖(優しく笑って)
「ダメよ。好きな人を見つけて、一緒に幸せになってほしいの」

亜里香(照れながらも強がって)
「……私は、お姉ちゃんがいれば、それでいいの」

(姉妹、涙と笑いの中で抱き合う)

シーン3:都内・高級ホテルラウンジ(午後)
希絵(冷ややかに)
「……あなたの名前は?」
亜里香(平然と)
「鈴木亜里香です。」

希絵(静かに目を細め)
「……ふうん。まるで……幽霊でも見ているような気分になるわね。」

(空気が一瞬凍りつく)

瑛二(慌てて)
「母さん! 亜里香はただの女子大生だ。学費も全部、奨学金で——」

希絵(鋭く遮る)
「“ただの”女子大生ね。タダで教育を受けて、タダでうちの息子を手に入れようってわけ?」

(彼女はテーブルの下から封筒を取り出し、静かに投げた。そこに入っていたのは――現金だった)

希絵(冷たく)
「これであなたの“お芝居”は終わりよ。うちには入らないで。」

(沈黙)

(――が、亜里香はゆっくりとその封筒を拾い上げる。一瞥し、鼻で笑う。そして——)

亜里香(吉川愛)
「“魂が暗いこの国”のトップが、女の嫉妬で金を使うなんて。
総理ってそんなに…安い存在でした?」

(亜里香は、封筒を希絵の胸元へ投げ返す)

希絵(表情がこわばる)
「……なんですって?」

亜里香(静かに毒を吐くように)
「誰が欲しがるのよ? 犬みたいな臭いのする息子なんて。」

(瑛二が立ち上がる)

瑛二(涙声で)
「亜里香、やめて! 俺は本気だったんだ!」

(亜里香は目を逸らし、冷たく言い放つ)

亜里香
「私は“凡人”じゃないの。あんたも、お母さんも――いらない。」

(背を向けて出ていく。重いドアが静かに閉じられた。)

EXT. 下町の坂道の住宅街(夜)
(冷たい夜風。街灯は点いているが、心許ない光。人気のない坂道を、有栖が歩いている)
有栖(手に大きな買い物カゴを2つ持ち、バランスを崩しそうになりながら)

「(息切れしつつ)重た……もう、こんなに買わなくても……でも、亜里香が喜ぶなら……」

(モノローグ)

「きっと今日も、"彼氏なんていないよ"って笑ってごまかすと思うけど……
紹介されなくても、姉妹だから分かるよ。…大事な人がいるって。」
(有栖、足元の玉ねぎを落としてしまい、それを拾おうとしゃがむ)
EXT. 通りの角 - 同時刻
隼希絵の乗った黒塗りの車が、ヘッドライトも点けずにゆっくりと坂を下ってくる。
運転は秘書ではなく、本人。
(ハンドルを握る手は冷静に見えて、強く力が入っている)

隼希絵(独白)

「何度言っても瑛二はあの娘と別れようとしない。
あの娘さえ消えてくれれば……」
(遠くに見える、しゃがみ込む若い女性の姿)
隼希絵
「……あれは…アイツ?」

(視線が細まる。拳を握る)

「また私の人生に入り込む気? ……二度と……害虫が私の世界を汚さぬように。」
(アクセルが、無意識に踏み込まれる)
(車が加速)

(有栖は何も知らず、袋の破れたカツを拾おうとしている)

有栖
「カツ丼、久しぶりに作るなぁ……喜んでくれるかな、亜里香……」

(ふと、ヘッドライトがないはずの眩しい光が――迫る!)

キイイイイ――ッ!!!

EXT. 衝突直前のスローモーション
(有栖が振り向く、車のフロントが視界いっぱいに広がる)
有栖(小さく)
「……え?」

(**衝突。**カゴが宙を舞い、食材が散る。静寂。ガラスが割れる音が残響のように響く)

EXT. 数十秒後
隼希絵がドアを開け、ゆっくりと車から降りる。
(血を流し、動かない有栖が路上に倒れている)

(有栖はまだかすかに意識がある。視線を上げ、助けを求める)

有栖(かすれた声)
「……たすけて……」

(希絵はその表情に、瑠夏の面影を見る)

隼希絵
「……まさか……?!」

(だが表情はすぐに冷たくなり、無慈悲に言い放つ)

隼希絵
「……息子と関係を持った罰よ。あんたが消えれば、すべてうまくいくのよ。」

(希絵は車へ戻ると、現場をそのまま離れる)

(風が吹き抜ける。袋の中のカツが、地面に転がり止まる)

(有栖の瞳に、ぽろりと涙が一粒落ちる)

有栖(心の声)
「……まだ……妹に、カツ丼……渡せてないのに……」

(有栖、静かに息を引き取る)

Scene 1:夜、鈴木家アパート 緊急の電話
(リビングに電話が鳴り響く。隆弘が受話器を取る)
隆弘(青ざめた声)
「……はい、はい……警察ですか? え?……事故? 有栖が……?……うそだ……うそ……!」

(電話を切った後、茫然と立ち尽くす)

亜里香(駆け寄る)
「……どうしたの? 隆弘お兄ちゃん? 電話……誰から?」

隆弘(震える声で)
「警察から……有栖が……事故で……亡くなったと……」

(沈黙――次の瞬間、崩れ落ちる亜里香)

亜里香
「いや……いやああああ!!!」
(床に倒れこみ、泣き叫ぶ)
「嘘でしょ!? 妹が死ぬなんて!そんなのイヤだ!! お姉ちゃんがいないなんて、生きてる意味ないよぉ……!!」

Scene 2:警察署前の駐車場
(警察官と話す隆弘と亜里香)
警察官
「身分証明書が見つかっていないのですが……こちらの遺体、鈴木亜里香さんで間違いないですか?」

(隆弘、一瞬ためらうが――)

隆弘(毅然と)
「はい……彼女は“鈴木亜里香”です。亡くなったのは……妹の亜里香です。」

警察官
「ご遺体には所持品もなく……逃走車によるひき逃げとみられます」

亜里香(低く震える声)
「……隆弘お兄ちゃん……なに言ってるの……私が、亜里香だよ?」

(隆弘、亜里香の腕を引き寄せる)

隆弘(ささやくように)
「これからは……“有栖”として生きていくんだ。妹のふりをして、隼一家に近づく。……復讐のために」

亜里香(動揺)
「な、何言ってるの……?私にはそんな……」

隆弘(涙声で)
「君しかいないんだ……有栖のために、妹を演じてほしいんだ……!」

Scene 3:事故現場・救急車の車内
(白い毛布に包まれた遺体に近づく亜里香。そっと布をめくる)
亜里香(声にならない嗚咽)
「お姉ちゃん……私よ……どうして……なんで、先に行っちゃうの……?……」

(手を握るが、冷たく、動かない)

亜里香(ふと)
「……指輪が、ない……。隆弘お兄ちゃんから、もらった婚約指輪……」

(視線をそらす隆弘)

亜里香(怒りと涙)
「なんでつけてないのよ!!大切な婚約指輪じゃなかったの!? どうしてなのよ、お姉ちゃん……!」

(ふたたび遺体にしがみつき、号泣)

亜里香
「ごめんね……私のせいで……お姉ちゃんが死んだの……本当は……私が代わりに死ぬべきだったのに……!!」

Scene 4:遺体搬送の救急車を見送りながら
(救急車の赤い光が遠ざかる)
隆弘(独白・目に涙)
「……僕の人生はもう、終わった。
有栖がいなければ、生きる意味なんてない……
でも……あの家族に、有栖を奪った奴らに、俺たちの痛みを味あわせてやる……
……絶対に」
(丘の上。夜風が強くなり、亜里香の髪が風に揺れる)
(彼女の手の中には、小さなベルがついた銀の指輪――
有栖が隆弘から贈られた婚約指輪だ。
それを、亜里香は胸に当てるように握りしめる)

亜里香(声を震わせながら)
「……これ、あの人が……お姉ちゃんにくれた指輪……。
結婚するはずだったのに……こんな……形で……」

(その指輪を見つめながら、堪えきれず嗚咽する)

亜里香(涙を流しながら叫ぶ)
「あんたが……お姉ちゃんの未来を壊したのよ!!
この指輪も、夢も、愛も……全部、あんたが奪ったんだ!!」

(怒りと悲しみで、指輪を地面に叩きつけそうになるが、途中で手を止める)

亜里香(嗚咽混じりに)
「でも……これは、お姉ちゃんの“未来”だったもの……
壊しちゃダメ……私が、取り戻す……!」

(再びそっと指輪を握りしめ、額に当てる)

亜里香(低く、決意の声で)
「お姉ちゃん……この指輪に誓うよ。
私は“鈴木有栖”として生きて、
あなたの命を奪った女のすべてを暴く」

(立ち上がり、崖下に向けて拳を握る)

亜里香(震えた声で)
「私が、あんたの“定め”を決めてあげる。
絶対に、絶対に許さない。
隼家には……血の涙を流させてやる……」

(星空に、静かに雷が走る)

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