終わりなき悪夢 最終夢 「夢枕」 ホラー

結婚式を直前に控え、幸せの絶頂にいた斉藤大地と有川まりこ。 しかし、まりこが痛ましい事故に遭い、凄惨な姿で帰らぬ人となってしまう。 深い喪失感に苛まれる大地の元へ、ある夜から死んだはずのまりこが夢枕に立ち始める。 「生きてる人間と同じように触れ合える」という彼女との、夢の中での逢瀬。 そして、友人に勧められた新しい出会いをきっかけに、 まりこは「最後のお別れに思い出の橋に行こう」と告げる。 約束の場所へ向かった大地を待ち受けていたのは、死者の執着と、逃れることのできない“永遠の約束”だった。
あゆむ。 26 0 0 09/26
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第一稿

〇結婚式会場・前
   担当者に挨拶をして中から出てくる斉藤大地(28)と有川まりこ
   (25)。
まりこ「これで、準備は大体整ったねー」
大地「あぁ、後は式当日を待つ ...続きを読む
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〇結婚式会場・前
   担当者に挨拶をして中から出てくる斉藤大地(28)と有川まりこ
   (25)。
まりこ「これで、準備は大体整ったねー」
大地「あぁ、後は式当日を待つだけだなあ」
まりこ「こんなに幸せな気持ちになれるなんて、ほんと大地と一緒にな
 れて良かった」
   大地の手を握るまりこ。
大地「(照れて)まりこ…」
まりこ「もぅ、照れないでよ、手を繋いだくらいで」
大地「…」
まりこ「でも、そんな大地が私は好きだなあ」
大地「よせって…恥ずかしい」
   笑っているまりこ。
まりこ「私達、これから結婚して、子供が出来て…幸せな家族作ろう
 ね」
大地「おぅ」
まりこ「これからもずっと、一緒にね」
   まりこが大地の手をギュッと握る。
まりこ「じゃ、ここで」
大地「うん、お義父さんやお義母さんによろしく」
まりこ「うん。じゃあまたね」
   まりこに手を振る大地。
   笑顔で頷くまりこ。
   まりこに背を向け歩き出す大地。
大地M「早く、まりこと式をあげて、二人で過ごしたいな…」
   車の急ブレーキとものすごく大きな物音がする。
   大勢の人の悲鳴が聞こえる。
   振り返る大地が目を見開く。
   まりこが車にはねられて口から血を吐き出している。
大地「え…なんで…嘘だろ…」
   暗転。

〇葬儀場・中(夜)
   まりこの親族達がお悔やみに来ている
   参列者に並んでいる大地と父の純一(50)と母の直子(49)
   直子が嗚咽を堪えながらハンカチを口に当てている。
直子「どうして、まりこが…」
   直子の隣で慰めている純一。
純一「悔しい…大事な娘を…」
大地「…」
   直子が立ち上がり、まりこが眠っている棺桶に抱き着く。
直子「まりこ!!目を覚ましてよ!まりこぉ…」
大地N「まりこは損傷が酷くて棺桶も開けられないままだった。最後
 に顔を見る事も出来なかった…」

〇マンション・大地の部屋・中(夜)
   仕事から帰ってくる大地。
   字幕「一ヶ月後」
   友人の井田邦夫(28)と、電話をしている。
邦夫の声「もう、いい加減忘れてさあ、今度合コンに来いよ」
大地「うん、分かってるよ…」     
邦夫の声「忘れられないのも分かるけど、ずっとこのままって訳じゃい
 けないんだから。セッティングするからちゃんと時間空けとけよ!
 じゃあな」
大地「おぅ」
   電話を切り、ベッドにスマホを投げるように置く大地。
大地「新しい彼女って…」
   ベッドに身を投げる大地。
大地「今日も疲れた…もう何もしたくねぇなぁ…」
   眠ってしまう大地。
   × × ×(時間経過)
女の声「大地…」
   唸っている大地。
女の声「ねぇ、大地…起きて。起きてってば」
大地「うん…」
   目を覚ます大地。
   大地の顔を見下ろしている顔に傷だらけのまりこが覗き込んでい
   る。
大地「え…?」
   微笑んでいるまりこ。
大地「え?まりこ?」
   驚いて起き上がる大地。
大地「何で?何で、まりこが?」
まりこ「来ちゃった」
大地「来ちゃったって…俺、夢でも見てんのか?」
   自分の頬をつねる大地。
大地「イテッ」
まりこ「もう、大地ったら(笑う)」
大地「だって、まりこ…亡くなっただろ?」
まりこ「うん…でも、大地にどうしても会いたくて来ちゃった」
大地「そうなのか?」
   まりこの体を触る大地。
大地「感触ある…」
まりこ「ここに戻って来たら生きてる人間と同じようになれるんだっ
 て」
大地「でも、幽霊…なんだよな?」
   笑顔で頷くまりこ。
大地「ほら、幽霊って体触ろうとしたらすり抜けたりするじゃない
 か?」  
まりこ「でも、私は特別」
   大地を抱きしめるまりこ。
まりこ「大地…会いたかった」
大地「俺も」
まりこ「本当に?」
大地「あぁ」
   大地とまりこが見つめ合いキスをしようとする所で暗転。
   × × × 
   夢から目を覚まし勢いよく起き上がる大地。
   息が荒い。
大地「まりこ…?まりこは?」
   辺りを見渡す大地。
大地「居ない…ゆ、夢だったのか?」

〇居酒屋・中(夕)
   大地と邦夫が合コンの女の子を待ちながら飲んでいる。
邦夫「は?死んだ元彼女が、何度も夢に出てくる?」
大地「あぁ」
邦夫「何だそれ(笑う)」
大地M「あれから、毎日のように夢を見る度にまりこが出てきた」

〇大地の回想・マンション・大地の部屋・中(夜)
   まりこが眠っている大地の枕元に立っている。
まりこ「大地」
   目を覚ます大地。
大地「まりこ。今日も来てくれたのか?」
まりこ「うん。私ね、毎日こうやってきてもいいと思ってるんだ」
大地「え?そんな事出来るのか?」
まりこ「私は、もう死んじゃったから現世では会えないけど、これ
 だったら会える事が出来るんだから」
大地「そうなのか」
まりこ「それじゃ、やっぱり嫌?」
大地「嫌って訳じゃないけど」
まりこ「私死んでも大地の事思って、こうやって出てきてるの。忘れ
 ないで」
大地「忘れないでって…忘れる訳ないだろ」
まりこ「ありがとう」
   大地に抱き着くまりこ。

〇回想戻り・居酒屋・中(夜)
   大地と邦夫。
邦夫「あぁでも、何か聞いた事ある。それ夢枕って言うんだ」
大地「夢枕?」
邦夫「死んだ人が、夢に出て枕元に立つって…それで何かメッセージ
 を送ったり最後のお別れしたりするって」
大地「…」
邦夫「でも、まぁ夢の話だから嘘か本当か分かんねぇけど」
大地「あぁ…」
   ビールを飲む大地。
邦夫「まぁ。そうは言ってもさ、大地がいつまでも独り身で居るってわ
 けにはいかねぇだろ?また新しく彼女見つけてさ」
   邦夫達の合コン相手の女の子が店に入ってくる。
邦夫「おっ来た来た!こっちー!」
   邦夫が呼んだ春香(23)と海鈴(23)
春香「こんばんわ」
海鈴「こんばんわ(大地を見てる)」
大地「こんばんわ…」
邦夫「(大地に耳打ち)こっちの彼女海鈴ちゃん。大地の事気に入って
 るみたいだから宜しくな」
大地「宜しくなって…」
邦夫「直ぐ飲み物頼むからね。ビールでいい?」
春香「はい!」

〇道(夜)
   大地と海鈴が歩いている。
海鈴「今日は、来てくれてありがとうございました」
大地「いや…」
海鈴「邦夫さんにお願いして今日の時間作ってもらったんです。私、大
 地さんの事いいなぁって思って」
大地「ど、どうも」
海鈴「大地さん、彼女も居ないって聞いたんで、もし良かったら」
大地「ご、ごめん…俺そういうのは今ちょっと…」
海鈴「え…?」

〇マンション・大地の部屋・中(夜)
   大地が夢を見てまりこが夢枕に立っている。
まりこ「大地」
   大地が目を覚まし体を起こす。
大地「おぅ、今日も来てくれたのか?」
まりこ「うん。でもね、突然なんだけど今日で、もう本当にお別れなん
 だ」
大地「お別れ?何でだよ…」
まりこ「やっぱり、いつまでもこのままじゃいけないって…」
大地「じゃあ、もう俺はまりこに会えなくなるのか?」
   俯き頷くまりこ。
大地「そんな急な…」
まりこ「それでね、最後になんだけど…二人でよく見に行ってた橋があ
 るじゃない?」
大地「あぁ、あそこの菅生橋?二人でよく行ったよな」
まりこ「高台の所だけどさ、景色が良かったでしょ?あそこ見に行きた
 いなって」
大地「でも、見に行けるのか?」
まりこ「見に行く時間は夜になるけど…大地が菅生橋まで来てくれたら、
 私そこに現れる事出来るから」
大地「わ、分かったよ」
まりこ「じゃ、明日…」
大地「おぅ」

〇駐車場
   大地が車に乗り込もうとしている時に電話がかかってくる。
大地「もしもし…何だよ?」
邦夫の声「何だよじゃねぇよ。おい、今日海鈴ちゃんと会う予定じゃな
 かったのか?」
大地「あぁ、あれなら断った。急用ができたから」
邦夫の声「急用?何の用だよ」
大地「邦夫には関係ねぇの。また日を改めるから。じゃあな」
   電話を切る大地。

〇菅生橋・前
   大地が乗った車が来る。
   橋の入り口に車を止める大地。
   車から降りる大地。

〇同
   大地が来る。
大地「まりこー!来たぞー。まりこー!」
   背後にまりこが立っている。
大地「(驚いて)まりこ!」
まりこ「ごめんね、驚かせちゃった…」
大地「あぁ、大丈夫。本当に来れたんだな」
まりこ「もう私、大地に嘘ついた事なんてないよ」
大地「そうだけどさ…」
   二人で橋から景色を見てるが暗くて景色が良く見えない。
まりこ「やっぱり、夜だから景色見えないね…私、夜じゃないとこ
 れないから…」
大地「まぁ仕方ないよ」
まりこ「ねぇ、前にこれからもずっと一緒に居ようねって言った事
 覚えてる?」
大地「おぅ」
まりこ「あの、気持ち…今も変わりない?」
大地「お、おぅ…」
   大地を抱きしめるまりこ。
大地「まりこ…」
   急にまりこの体が重たくなる。
大地「う…まりこ?」
まりこ「…」
大地「お、重たい…」
   後ずさりをしていく大地。
   段々と欄干に近づいてく。
大地「まりこ!!」
   後ろを振り向くと真っ暗な闇のような川が蠢いてるように見え
   る。
大地「まりこ、やばいって…端から落ちちゃうって!」
   まりこが大地を見る。
大地「まりこ…」
   笑ったかと思うと、急に素の顔に戻る
大地「!」
   一緒に橋から落ちていく大地とまりこ
   大地の絶叫が響きながら闇の中に落ちていく。

〇マンション・大地の部屋・中(夜)
   大地が目を覚ます。
   体全身びっしょりと濡れている。
大地「夢か…?」
   息が荒いながら、体を動かそうとするも金縛りのようになって、
   体が動かない。 
大地M「か、体が…動かない」
   大地の胸に、ぬめりのような感触を感じ、視線だけ下げると掛布
   団の中からヘドロで体はぐしゃぐしゃになり車で撥ねられた時の
   無残な顔をしたまりこが抱き着いている。
大地「ま…ま…(声が上手く出ない)」
まりこが口だけ動かして何か言おうとしている。
大地M「まりこ…」
   大地は何かを悟ると腕が動き出し、ゆっくりとまりこを抱きしめ
   る。
大地M「俺も…そっちの世界へ行くよ…」
   まりこが物凄い力で掛布団の中に引っ張り掛布団の中に吸い込ま
   れる。
まりこの声「ずっと一緒って…言ったじゃない…」
   布団の中は抜け殻になっている。  
   完。

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