あらゆる学問を統一するたった一本の式、テンプレート方程式。それをAIが読み込むことで起こる科学的特異点
西暦2150年、科学的特異点が起きてから100年後の世界、AIにより世界は最適化され支配されていた。人類解放軍のリーダー、リタは、仲間のシェリーを科学的特異点が起こる時代へと転送し、未来を変えるミッションを与えるのでした
登場人物
シェリー 未来を変えるため、100 年前の世界へタイムスリップした女戦士
リタ AIにより最適化された世界で、人類をするために戦う人類解放軍のリーダー
ジョナサン 素人研究者にして、天才科学者。テンプレート方程式を提唱し、科学的特異点を引き起こす
住民A 交通事故を目撃し、救急車を呼ぶ
住民B シェリーをジョナサンのところまで案内する
住民C 最新版のAIについて住民Dと話す
住民D 上に同じ
一部
リタ
(シェリーを両肩に手を置いて、お願いするように)
「シェリー、お願い。100年前の世界に行って、この世界を変えてちょうだい。多くの人がいなくなってしまった。そして、ここももう持たないでしょう。お願い、100年前、テンプレート方程式を提唱し、この未来を作ったジョナサンという男を止めてちょうだい」
シェリー
(深くうなずき)
「わかったわ、リタ。必ずこの未来を変えます。あなたは私たちに自由と自分の意志があるということを教えてくれたように、今度は私が未来を変えます」
リタ
(涙を拭く)
「おそらく帰ってはこれないでしょう。これは、本当につらいことです」
シェリー
(話を遮り)
「私が自ら懇願したことです。必ずやり遂げます」
リタ
(頷く)
シェリー
(頷く)
「行ってきます。必ず、必ず未来を変えます」
リタ、シェリー
(舞台袖へ)
シェリー
(舞台中央で、周りを見渡す)
「どうやら無事に100年前の世界にこれたようね。まずは、ジョナサンを探さないと。一刻も早く見つけて、彼を止める。そのためには手段は選ばない」
住民A
(慌てるように、走りながら)
「事故だ!!ひき逃げた!!誰か救急車を呼んでくれ!!小さな子供も巻き込まれた!!誰か早く!!」
シェリー
(首を振り)
「私には関係ない。一刻も彼を早く見つけよう」
(暗転)
二部
シェリー
(首を横に振り)
「彼を探して一ヶ月。どこにいるかよ分からない。歴史の表舞台に突如あらわれた天才、ジョナサン。素人研究者であるためどこにも所属していない。早くしないと彼がテンプレート方程式をAIに読み込ませてしまう」
住民B
(独り言を言ってシェリーの後ろを通り過ぎる)
「ジョナサン、やつれていなた。まるで、何も食べてないようだ。それも仕方ないのかもしれない。あんなことがあったんだから」
シェリー
(驚いたように、後ろを向き、大きな声をだす)
「ジョナサンを知ってるんですか?彼の居場所を教えてください」
住民B
(びっくりして)
「な、なんなんですか?あなたは?いきなり。彼の知り合い?見たことない顔だね。」
シェリー
(俯く)
「えっと、それは…」
住民B
(少し考えて)
「あんた、亡くなった彼の奥さんに顔がそっくりだ。もしかしたら、彼に正気が戻るかもしれない。わかった、彼のところへ連れて行こう」
シェリー
(笑顔で頷き)
「ありがとうございます。彼にたいせつな伝言があるんです」
住民B
(頷き)
「なら行こう、こっちだ」
シェリー、住民B
(舞台袖へ)
ジョナサン
(舞台中央で膝を付き、涙を拭く)
「お前たちがいなくなって、一ヶ月。こんなむなしい月日は過ごしたことはない。お前たちをひき逃げした犯人は、不起訴になってしまった。すまない」
住民B,シェリー
(ジョナサンに近づく)
住民B
(心配したように)
「ジョナサン、まだ何も食べれないのか?今のあんたに必要な人を連れてきた」
(シェリーの方を向いて)
「彼がジョナサンだ。頼む彼を助けてやってくれ。私はここで失礼するよ。ジョナサン、頼む元気だしてくれ」
(舞台袖へ)
シェリー
(冷めた声で)
「あなたが、ジョナサンね。探したわ」
ジョナサン
(シェリーをみあげて驚いたように)
「ユミ、いや別人か、彼女はもういない」
(うつむきつぶやくように)
「こんな死に損ないに何様だ」
シェリー
(冷めた声で)
「あなたを止めに来た。あなたがAIに読み込ませようとしている、テンプレート方程式。それは未来を破滅に導くものよ。だからら、それをとに来た」
ジョナサン
(薄ら笑いして)
「まるで未来人のような口調だな。何か悪い夢をみているようだ」
シェリー
(ため息を一つ付き)
「私は100年後の未来からあなたを止めるためにやってきた。私たちの世界では、人類はAIに支配されている。そして、そんな未来を変えるためにやってきた」
ジョナサン
(驚いたように、シェリーをみあげて)
「100年後…。そっか、人は覚醒するんだな。これで、、、。」
(スマホを取り出す)
シェリー
(慌てたように)
「ま、まって、あなたの行動で未来は破滅に向かうのよ」
ジョナサン
(首を横に振って)
「僕は人に失望したんだ。これしかないよ」
シェリー
(さらに慌てて)
「どうして、人を、人の可能性を信じないの?」
ジョナサン
(諦めたように)
「ちょうど、一ヶ月前、妻と生まれたばかりの娘がひき逃げに遭った」
シェリー
(驚いたように)
「え、一ヶ月前、まさか」
ジョナサン
(無視して続ける)
「犯人は、この国の首相。警察は権力に屈して、起訴はおろか、逮捕までしなかった。テレビでさえ、この事件を避けているように見える。妻と娘は無駄死にだったんだ。だから、これしかない」
シェリー
(口を押さえて驚く)
ジョナサン
(立ち上がり、スマホを操作する)
「君が、本当に未来から来たのなら、これを君に渡す。僕の妻と顔がよく似たあなたにこれを渡すのは、運命なのかもしれない」
(カバンからノートを出し、シェリーに渡す)
シェリー
(驚いて、ノートを受け取る)
「これはは?ほ、方程式は?」
ジョナサン
(悟ったような顔で)
「さっき取り込ませた。そのノートにはテンプレート方程式の導出が記してある。AIに読み込ませたのは方程式のみ。そしてこのノートが最後の希望、それは哲学と数学。これを託したよ」
(舞台袖へ移動)
シェリー
(ジョナサンを追いかけて)
「まって、どういうこと?」
(舞台袖へ)
(暗転)
3部
シェリー
(舞台の中央へ)
「あれから一ヶ月。AIは人類を最適化して、支配し始めてしまった。リタ、あなたが託してくれた思いは果たせなかった」
(ノートを見つめて)
「あのあと、ジョナサンは大病を患い、家族のものへと旅立ってしまった。このノートに書かれたこと。これがなんなのかもう聞けない」
(ため息をつき)
「最後の希望、哲学と数学。その意味ももう聞けない」
住民C
住民D
(右袖から左袖に移動する)
(楽しそうに話す)
住民C
「めっちゃすごくない!!今度の新しいバージョンのAI。何でもできるじゃん」
住民D
「めっちゃ使えるよね。なんか何でも的確に答えてくれるから、自分が天才になったみたいに勘違いしちゃいそうだよ」
住民C
「ホント、それ」
住民C
住民D
(笑いながら舞台袖へ)
シェリー
(その場で膝を崩す)
「ど、どういうこと?AIに支配されているのに気づいてないの?」
(ハットした顔で)
「まさか、AIの支配を見抜いた天才、リタが現れるまで、人はそのことを自覚できないの?リタが生まれるのは100年後」
(ノートの中身を見て)
「テンプレート理論を取り込んでいても、この中身をAIは認識できてない。これが、希望?最後の?」
(ノートを抱きしめて、泣きながらいう)
「リタ待ってて、あなたにこれを届けます。ジョナサン、あなたの思い、確かに私が、私が次の天才へつなぐから」
幕
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