少女が嫌った数式 舞台

託された思い、の続編 すべての学問を統一したテンプレート方程式をAIが読み込んだことで起きた科学的特異点から60年。AIは人間すらも最適化して、支配ていた。シェリーは、人類を覚醒させる天才リタを探していたが、見つけられずにいます。さらに、余命が宣告されたことで彼女は絶望していた。そしてその頃、シェリーの孫リリーナの異変に、彼女を世話しているアンドロイドは気づくのでした。
上田 貴史 19 0 0 08/18
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第一稿

すべての学問を統一したテンプレート方程式をAIが読み込んだことで起きた科学的特異点から60年。AIは人間すらも最適化して、支配ていた。シェリーは、人類を覚醒させる天才リタを探してい ...続きを読む
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すべての学問を統一したテンプレート方程式をAIが読み込んだことで起きた科学的特異点から60年。AIは人間すらも最適化して、支配ていた。シェリーは、人類を覚醒させる天才リタを探していたが、見つけられずにいます。さらに、余命が宣告されたことで彼女は絶望していた。そしてその頃、シェリーの孫リリーナの異変に、彼女を世話しているアンドロイドは気づくのでした。

登場人物
リリーナ 変わった子供。自分でも周りになじめないと思っている。シェリーの孫。

CP80 リリーナ家の専属アンドロイド。リリーナの異変に気づく

リリーナの母 リリーナを病院に連れてこうとする

シェリー 科学的特異点を知る唯一の人物。人類を解放する天才リタを見つけられず、絶望している。余命2カ月の老婆

医者アンドロイド シェリーのターミナルケアを行う

1部

CP80
(人間が話すように)
「リリーナ様、今日のあなたの服装をこの中から選んでください」
(服を差し出す)

リリーナ
(首を振り)
「なんであなたに決めてもらわないと行けないの?こんな服嫌」
(服を投げ捨てる)

CP80
(ため息をつき、服を拾う)

リリーナ
(無言で舞台袖へ移動)

CP80
(リリーナを追いかけて)
「待ってください。リリーナ様」
(舞台袖へ移動)

リリーナ
(舞台中央へ。後ろを気にしながら)
「ロボット野郎は来てないわね」
(紙を取り出し、読む動作をする)
(独り言を言う)
「この人の書いた本、面白いわ。AIが書いた小説よりよほど刺激的よ。でも、これがバレると精神病院に送られちゃう。だから、1ページずつ破ってみるしかないの。当然、読み終えたページはバレないように捨てるわよ」
(紙に火を付ける前をして)
「読み終えたものはこうやって、燃やして証拠隠滅しないと」
(舞台袖へ移動)

CP80
(舞台中央へ、リリーナが燃やしたカスを拾いながら)
「これはなんだ?解析開始。解析終了。これは人間が昔に書いた、何かの理論書の切れ端。リリーナ様の異変はこの切れ端による精神汚染の可能性99%。すぐに治療が必要」
(周りを見渡し、誰かを探す)
「母上様に報告せねば」
(舞台袖へ)

リリーナの母
(舞台中央へ)
(おやつと紅茶を飲み終えて)
「美味しかったわ。今日、選んだのはチョコクッキーとオレンジティー。いつもCP80の選択肢に出てきてたけど、なかなか選ぶ勇気なかったわ。でも、これは選んで正解ね。わたしって天才」

CP80
(リリーナの母に近づく)
「母上様。リリーナ様に精神異常が確認されました。今すぐ治療が必要です。ジョゼフ病院か、マリアード病院の精神科に連れていきましょう。どちらの病院にしますか?」

リリーナの母
(悩む)
「ここから近いジョゼフ病院にします」

CP80
(頷き)
「わかりました。リリーナ様を連れていきましょう」

暗転

2部

シェリー
(舞台中央へ、ベッドに横になる)
「ジョナサン、あなたの想いを次の天才に届けるって行ったけど、無理だったわ」
(ため息をつく)
(部屋を見回して)
「壁にかかっている絵、今聞こえている音楽すべてAIによって作られたもの。科学的特異点以降、人が作ったものは姿を消してしまったわ」
(窓の外をみる素振りをして)
「外であの男の人が読んでる本も、すべてAIの産物。そして、彼が読んでる本、髪型、服装、靴すべてAIが提示した選択肢から選んだもの。あれ以来、人はAIの選んだ選択肢の中でしか生きられなくなってしまった。リタ、あなたが現れるまでは。でも、私はあなたを見つけられそうにないわ」
(咳き込むしぐしをして)

医者アンドロイド
(シェリーに近づき、心配するような口調で)
「シェリー様、大丈夫ですか?」

シェリー
(頷き)
「ありがとう。大丈夫よ」

医者アンドロイド
「シェリー様の容態スキャン開始、完了。痛み止めを倦怠止を出す必要あり、それによる症状緩和確立90%」
(薬を取り出す素振りをして)
「これを飲んでください。落ち着きますよ」

シェリー
(もう一度頷く)

医者アンドロイド
「来週の10時25分に、ご家族がお見舞いに来ますよ。元気だしてください。では、私はこれで失礼します」
(舞台袖へ)

シェリー
(ため息をつき)
「すべてAIの思うがままね。これでは、人は家畜よ。リタ、あなたはどこにいるの?」
(諦めたような薄ら笑いをして)
「もう、心をほじくるのはやめよう。私は何もできなかった。それが真実よ」


暗転(シェリー、舞台袖へ)

3部
リリーナの母
リリーナ
(舞台中央へ)
リリーナの母
(優しき声で)
「リリーナ、少しお出かけしましょう」
リリーナ
(首を傾げて)
「どこに行くの?」
リリーナの母
「病院よ。少し診てもらいましょう。怖くないわ。」
リリーナ
(首を振って拒絶して)
「行かない!!私どこも悪くないもの。行かないったら行かないんだから」
リリーナの母
(リリーナの手を取り)
「悪いものを治せば生きやすくなるから。ほら生きましょう。14 時35分にジョゼフ病院に行くのよ」
リリーナ
(手を振りほどき)
「嫌よ。私は私で決めて考えたいの。お母さんたちみたいに、何も考えないのは生きている意味がないわ」
リリーナの母
(リリーナにビンタするふりをして、声を荒らげて)
「私だって考えて決めてるわ。そんな人をバカにしてはダメです。ほら、病院に行きますよ」
リリーナ
「嫌、私、行かないんだから」
(舞台袖へ走って移動)

リリーナの母
(リリーナを追いかけるように舞台袖へ)
「待ちなさい」

リリーナ
(舞台中央へ。紙切れを出して)
「こらが最後のページ。最初はワクワクして読んでたけど。この最後に書かれたテンプレート方程式、こんな骨だけの数式は私は好きじゃないわ。それよりも、この端に書かれた、フェルマーの最終定理の方が刺激的ね。おばあちゃんに内緒で、勝手読んで、燃やしてしまったことを、今度謝りに行こう。あんなロボットに日時を決められる前に」

暗転(リリーナ、舞台袖へ)

4部
シェリー
(舞台中央へ、咳き込むふりをして)
「もう私も長くないわね。私は何もできなかった」
(涙を拭き、諦めたように)
「この世界のほうが人は幸せなのかもしれないわ。私たちが戦った世界では、人類解放軍はAIにテロリストとして認定され、多くの人に教育された。そして、AIを盲信する人たちから、迫害や時には暗殺されることもあった。そして、ついにこの社会を維持したい多くの人によって、攘夷軍が組織され私たちはその人たちと殺し合いをし始めた。それを思えば、家畜のようにただ生きる世界の方がいいのかもしれない」

リリーナ
(シェリーに近づき)
「おばあちゃん、元気?」
シェリー
(驚いて)
「リリーナ!今日は来る日じゃないでしょ?どうしたの?」
リリーナ
(からかうように)
「おばあちゃんまで、ロボットの言いなりね」
(少し下を向く)
シェリー
(心配したような口調で)
「どうしたの?何かあったの?」
リリーナ
(間を置いて)
「おばあちゃんの部屋にあった。古いノート燃やしちゃった。ごめんなさい」

シェリー
(残念そうに下を向いて)
「そう、もうあのノートはないのね」
(作り笑顔で)
「でも、リリーナあなたが来てくれてうれしいわ」

リリーナ
(シェリーの目を見て)
「おばあちゃん、私、あのノート全文読んだの。最初は面白かったけど、最後のテンプレート方程式は美しくないわ。まるで、生きてないもの」

シェリー
(目をパチパチさせて)
「リリーナ、あれを読んだのかい?理解できたのかい?」

リリーナ
(腰に手をやり、威張るよに)
「当たり前よ!おばあちゃんの孫だもの。もう、ロボットに見つかりそうで、ドキドキしたけど」

シェリー
(笑って)
「わかったわ、リリーナ、あなた、1ページごと破って、読んでは燃やしたんでしょ?」

リリーナ
(驚いたように)

シェリー
(威張るように)
「当たり前よ!あなたのおばあちゃんだもの」

リリーナ
(決意したように)
「私、名前変えようと思うの。だって、私のリリーナって名前も、どうせロボットが差し出した選択肢なんでしょ?そんな名前うれしくもないわ」

シェリー
(目をパチパチさせて)

リリーナ
(少し大きな声で)
「私、あたらしい名前、決めてるんだ。それはね、リタ。リタよ。いい名前でしょ」

シェリー
(驚いて、手で口をふさぐ)
「リ、タ。アナタだったのね。リタ、いい名前ね。でも、あなたは普通の女の子でいてほしかった」

リリーナ
(首傾げて)
「何の話?」

シェリー
(リリーナの目を見て)
「私はあなたに話さないといけないことがあるの。あのノートのこと、そしてこの世界のこと。それを聞いてどうするか、それはあなたに任せます」

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