ターン・オーバー 学園

高校でいじめられっ子の浅田渚(16)。いじめっ子の山下知花(16)からスクールカーストを変える提案を受ける。作戦は成功したかと思えたが…
kaz_fey 19 0 0 06/21
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第一稿

人 物

浅田渚 (16)高校1年生
山下知花(16)渚のクラスメート
村上弥生(16)渚のクラスメート
土屋大輔(16)(声のみ)弥生のボーイフレンド

○葉山南高 ...続きを読む
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人 物

浅田渚 (16)高校1年生
山下知花(16)渚のクラスメート
村上弥生(16)渚のクラスメート
土屋大輔(16)(声のみ)弥生のボーイフレンド

○葉山南高校・正門

門柱に『葉山南高等学校』のプレート。

○同・1年2組教室・外

扉が開き、教師が出ていく。

教室のざわついた音が漏れてくる。

○同・教室・中

席に着いている山下知花(16)。
知花の前の席に座る村上弥生(16)が、後ろの席の知花に一方的に話し掛けている。

弥生「だからね、言ってやったの。あんた、誰に向かって言ってんのって。きゃはは」

弥生の下品な笑い声が教室内に響く。

知花、上の空で髪を無意識に触る。

弥生「ちょっと知花。私の話聞いてる?」

知花「えっ?あ、あぁ、聞いてるよ」

弥生「知花、最近なんか冷たいんじゃない?」

知花「は?そんなことないでしょ」

弥生「そう。ならまぁ、いいんだけどさぁ。あぁ、なんかムシャクシャする」

弥生、振り返り、前の席に座る浅田渚(16)に向かって高圧的に話し掛ける。

弥生「渚ぁ」

渚、お弁当を食べる手を止める。

弥生「いつものパン、買ってきてくんない?」

渚「え?でも、お金いつも私が立て替えてるよね。まだそれも払って貰ってないし……」

弥生「うん、だからいつも通り、今回もツケでよろしく。アンダースタン?お返事は?」

知花、弥生と渚のやり取りを見ている。

弥生「ほら渚。ハリー、ハリーアップ」

渚、深く溜息をついて立ち上がる。

弥生「あっ、知花も一緒に何か頼んだら?」

知花「えっ?あぁ、そうねぇ。今日は売ってるの見て決めたい気分だし、私も買いに行くよ。ついでに渚がバックれないようにしっかり監視しとく」

弥生「あっそ。サンキュー。じゃ、よろしく」

渚と知花、一緒に教室を出ていく。

2人を見送る弥生。

弥生「なんかムカつくんだよね、知花」

○同・渡り廊下

渚と知花が並んで歩いている。

知花「渚、ちょっといい?」

知花、渚の腕を掴み、渡り廊下をはずれて校舎の死角に渚を連れ込む。

知花「(渚に顔を近付け)私と組まない?」

渚「えっ?」

知花「弥生がさぁ。いい加減うざくってさ」

渚、知花の提案に警戒の表情。

知花「渚もさぁ、こんなパシリとかさせられて、何とかしたいって思ってるでしょ?」

渚「それは、思ってるけど……、でも」

両手を制服のポケットに入れている渚。知花、笑顔で渚の両肩をつかむ。

知花「ひっくり返さない?」

知花、スマホを取出す。渚の耳元に近付け、画面操作しファイルを再生する。

弥生の声「最近、ちょっと知花が反抗的なんだよねぇ。だからさぁ、ちょっと懲らしめちゃおっかなぁとか思うんだ
けど、どう思う?大輔、ねぇ大輔ぇ、聞いてる?」

大輔の声「(笑って)おぉー、怖い怖い。女って本当、怖いよなぁ。知花ちゃん可哀そう」

知花、ファイル再生を停止する。

渚「これ、どうしたの?まさか盗聴とか?」

知花「しないって。詳しくは言えないけど、人伝てで私のとこに来たの」

ポケットに手を入れたまま考え込む渚。

知花「渚だって楽しい学校生活送りたいでしょ?私と組めばチャンスなんだって。作戦も練ってあるしさ。弥生みたいなバカ女がのさばってたらダメなんだって。分かるでしょ?」

知花、渚に近付き耳元で作戦を伝える。

○同・1年2組教室・中

渚、自席に座りお弁当を食べている。

知花と弥生、2人でパンを食べている。

 ×   ×   ×

体操服に着替えた女生徒達が教室を出ていく。

○同・廊下

体操服姿の知花と弥生が並んで歩く。

その後ろに渚も一人で歩いている。

弥生「ごめん、知花。やっぱ私、体育パス。大輔とバックれちゃうわ。きゃはは」

弥生、一人で走って行く。

後ろを振り返る知花。渚に目配せする。

渚、頷いて教室に戻っていく。

○同・1年2組教室・外

終業のチャイムが鳴る。

○同・教室・中

帰り支度をする生徒達。

知花がカバンを覗き込み大声を上げる。

知花「なんで?私のお財布がない」

生徒達が一斉に知花の方を向く。

前の席に座る弥生、知花に向かって、

弥生「それって泥棒じゃん。ひどくない?」

知花「誰なのよ。私の財布盗んだの」

弥生「一体誰なの?あーあ、知花が可哀そう」

ニヤつく弥生。楽しそうに犯人捜し。

渚、カバンを持って席を立つ。

弥生「知花がこんなになってるのに帰ろうとしてさぁ。渚、なんか怪しいんですけど」

弥生が渚のカバンを引ったくり、中を見ようとする。渚は抵抗してもみ合う。

弥生「本当はあんたが犯人なんでしょ?」

渚「やめて」

もみ合った拍子に渚が弥生の机を倒す。

倒れた机から勢いよく中身が散乱する。

知花「あっ、これ」

知花、散乱する床から財布を拾い上げる。

弥生「えっ?何これ。知らないんですけど」

知花「弥生、まさか弥生が私の財布を?」

弥生「知らないって、てか、そんな訳ないし」

知花「だけど。じゃあ何で弥生の机から?」

弥生、渚を見る。

閃いたような表情をして知花に訴える。

弥生「分かった。渚だよ。やっぱり渚が犯人なんだよ。盗んだ財布を私の机に入れておいてさぁ、ワザと中身をブチまけて、知花に見つけさせようとしたんだよ」

渚「そんな。何言ってんの?やめて」

弥生「知花、渚だよ。間違いないって」

知花「そうなの?渚」

知花、渚を見る。渚、見つめ返す。

弥生「私と渚、どっちを信じるのよ」

強い口調で訴える弥生。

渚、知花と弥生を交互に見て、大きく深呼吸をする。

制服のポケットからスマホを取り出す。画面操作してファイルを最大の音量で再生する。

弥生の声「最近、ちょっと知花が反抗的なんだよねぇ。だからさぁ、ちょっと懲らしめちゃおっかなぁとか思うんだけど、どう思う?大輔、ねぇ大輔ぇ、聞いてる?」

大輔の声「(笑って)おぉー、怖い怖い。女って本当、怖いよなぁ。知花ちゃん可哀そう」

弥生の表情が強張る。

渚、ファイル再生を停止する。

渚「私じゃない。私は山下さんの財布を盗んだりしない」

知花、弥生を睨みつける。

知花「何これ。どういうことよ、弥生」

弥生「知らない。何これ、何なのよ」

狼狽する弥生。教室がざわめく。

○同・下駄箱前(夕)

渚と知花が並んでやってくる。

渚「嘘みたい。成功しちゃったね」

知花「そうだね。無事完了ってところかな」

渚「私達、明日から生活が変わるのかなぁ」

知花「さぁ、どうだろうね」

渚「えっ?」

渚、知花を見つめる。

知花、ポケットからスマホを取り出し、

動画を再生する。渚に見せつける。

動画には、渚が知花の財布を盗み出し、弥生の机に入れるシーンが映っている。

渚「えっ?これって、まさか」

知花「そういうこと。女同士の友情なんて危ういでしょ?だから保険かけておくの。悪気はないんだけどさ。まぁ、そんな訳だから渚と私の関係はそんなに変わらないかも。だって急に仲良しになったら、それこそ可笑しいでしょ?」

渚、俯く。苦笑いしながら顔を上げる。

渚「なんだ、山下さんとは仲良しになれるかなって期待してたのに。残念」

知花、訝し気に渚を見つめる。

渚、制服のポケットからスマホを取り出す。画面操作してファイルを再生する。

知花の声「「渚だって楽しい学校生活送りたいでしょ?私と組めばチャンスなんだって。作戦も練ってあるしさ。弥生みたいなバカ女がのさばってたらダメなんだって。分かるでしょ?」

渚、ファイル再生を停止する。

渚「私もね保険はかけておくの。いじめられっ子ってさ、そんなに簡単に他人のこと信用出来ないから、ゴメンね。そもそも村上さんと土屋君の音声だって私が録音して、山下さんに伝わるように仕組んだものだし」

知花、唖然とした表情。

渚「私は最悪、今まで通りのいじめられっ子だけど、山下さんはこれがバレちゃうと、ちょっとキツいよね。あーあ、山下さんってもっと賢い女子だと思ってたのに、残念。それと……、仲良しになれそうだったのに」

渚、上目遣いの笑顔で知花を見つめる。

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