終わりなき悪夢 第一夢「悪夢」 ホラー

【あらすじ】 仕事帰りのOL・大沢恵子は、ある日から「カラカラカラ……」と釘を打ち付けたバットを地面に引きずる異様な音に付きまとわれるようになる。その音は、彼女の背後から迫る見えない殺意の予兆だった。 恐怖の中、唯一の頼みの綱である恋人のミキオに助けを求め、ようやく安息の場所である自宅マンションへと辿り着く。しかし、悪夢は終わらなかった。 目覚めた先に待っていたのは、夢よりも冷酷な現実。そして、剥がれ落ちた「愛する人」の正体。逃げ場のない惨劇が幕を開ける、オムニバス第1話。
あゆむ。 32 0 0 08/22
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第一稿

〇××コーポレーション・受付(夕)
   大沢恵子(24)と泉彩菜(25)が受付業務をしている。
恵子「あちらのエレベーターご利用下さい七階になります」
   来客に頭を下げ ...続きを読む
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〇××コーポレーション・受付(夕)
   大沢恵子(24)と泉彩菜(25)が受付業務をしている。
恵子「あちらのエレベーターご利用下さい七階になります」
   来客に頭を下げる恵子。
   一息ついて、席に着く恵子。
彩菜「あっ、もう仕事終わりだー」
恵子「じゃあ、上がろうか」
彩菜「うん、お疲れ様」
恵子「お疲れ様」

〇同・更衣室・中(夕)
   着替え終わった恵子。
   ロッカーを閉めると同時に、恵子の頭の中でカラカラカラと音が
   鳴り眉間に皺を寄せこめかみに手を当てる。
恵子M「また、この音…」
   
〇恵子の回想・道(夜)
   仕事帰りの恵子に距離を取って後をつけている男が居る。
   カラカラカラと音がして恵子が怖くて動けなくなる。 
   男は木製のバットに無数の釘を打ち付けて地面に引きずってい
   る。  
   ゆっくりと振り向く恵子だが、誰も居ない。
恵子「(声が震え)だ、誰か…?誰か居るの?」

〇回想戻り・更衣室・中(夕)
   恵子がこめかみに手を当てている。
恵子M「あの時から、頭の中にあの音がこびりついて離れない…」
彩菜「恵子?大丈夫?」
恵子「う、うん…」   
彩菜「頭痛いの?」
恵子「ちょっと、最近片頭痛よく起こすの…」
彩菜「痛み止めあるけど、いる?」
恵子「大丈夫。私も持ってるから。ありがとう」
彩菜「それじゃ、お疲れ様。お大事にね」
恵子「うん。お疲れ様」

〇××コーポレーション・前(夕)
   恵子が出てくる。
   バッグからスマホを出し彼氏の末次ミキオ(28)に電話をする。
恵子「もしもし?」
ミキオの声「今、電話に出られません。メッセージお願いします。折り
 返し連絡します」
   電話を切る恵子。
恵子「仕事忙しいのかな…」

〇道(夜)
   人気のない道に恵子が歩いている。
   少しずつ後ろの気配を気にしながら
恵子M「本当は、ここ通りたくないけど、近道だし早く家に帰りた
 い…」
   カラカラカラと釘付きのバットの音が聞こえてきて、体が固まる
   恵子。
恵子M「またこの音…」
   ゆっくりと、後ろを振り向く恵子。
   釘を打ち付けた木製のバットを引きずりながらマスクを被った男
   が少しずつ近づいて来る。
恵子「(声が震え)やめて…来ないで…」
   男は構わず、恵子に近付いて来る。
恵子「何なの…あなた誰なの?」
男「…」   
   思い切って走って逃げる恵子。

〇公園・中(夜)
   走って公園の中に入ってくる恵子。
   肩で息をしている、
恵子「私が何したっていうの…ミキオ。まだ仕事終わらないのかな」
   バッグからスマホを出しミキオに電話をする恵子。
恵子「あ、ミキオ」
ミキオの声「おぉ、恵子」
恵子「良かった繋がって」
ミキオの声「悪いけど、まだ仕事中なんだけど、どした?何かあっ
 た?」
恵子「前に言ったでしょ?私の後を着けてくる人が居るって」
ミキオの声「あぁ」
恵子「今、居るの!バットに沢山釘付けて。私を殺そうとしてるの」
ミキオの声「またその話かよ」
恵子「またって…私本当に怖い思いしてるのよ」
ミキオの声「前言った時、俺外も見に行ったりしたけど、誰も居なかっ
 ただろ?」
恵子「居るの!あの時だってちゃんと居たんだから!」
   またカラカラカラとバットを引きずる音が聞こえ始める。
恵子「あ…また聞こえ出した…来る…」
ミキオの声「おい、恵子落ち着けって」 
恵子「ねぇ、ミキオ早く来て。私殺されちゃう!」
ミキオの声「今どこに居るんだよ」
恵子「会社の近くの公園。ねぇお願いだから」    
   バットを引きずる音が大きくなる。
ミキオの声「近くに警察ないのか?」
恵子「無い!」
   バットを引きずっている男が公園の中に入ってこようとしてい
   る。   
恵子「来る。あいつが来る」
ミキオの声「俺から警察に連絡しとく。どこか隠れる所あるか?」
恵子「え…(辺りを見て)こ、公衆トイレが あるからそこに隠れる。
 じゃあ」
   電話を切る恵子。
   男と視線が合いそうになる恵子が物陰に身を隠す。
   男は、公園の中を見回している。
   恵子は男に気付かれないように公衆トイレの中に入っていく。

〇公衆トイレ・中(夜)
   恵子が入ってきて、ドアを閉める。
   息を殺し、しゃがみ込む恵子。
恵子「警察、早く来て…」
   カラカラカラと音が近づいて来る。
恵子「!」
   恵子の体中に緊張が走る。
   公衆トイレの前でバットを引きずる音が止まる。
恵子「…」
恵子M「早く。どっか行って!」 
   無音が続く。
恵子M「居なくなったのかな…」
   恐る恐るドアノブを触ろうとした時
   ドアを思い切りバットで殴る音がする。
恵子「!」
   あまりの恐怖で腰が抜けて動けなくなる恵子。
   何度も何度も、バットでドアを殴っている。
恵子「や…めて…やめて…お願いだから」
   ドアにヒビが入りだし、恵子はより一層恐怖を感じる。
恵子「(叫ぶ)もう、止めて!!」
   ドアが破れ男が顔を出す。
   恐怖で泣き叫ぶ恵子。
   パトカーの音が遠くから聞こえ男が気付く。
   男はゆっくりと、その場から離れていく。
   肩で息をしている恵子。
   警官A、Bが来る。
   腰を抜かしている恵子を見て驚く警官達。
警官A「大丈夫ですか?」
恵子「は、はい…」
警官B「通報がありまして、この辺でバットを持ったものが女性を追い
 回してるって」
恵子M「ミキオが連絡してくれたんだ…」
警官A「立てますか?」
   恵子が頷きながら、警官達に両脇を抱えてもらう。

〇同・前(夜・時間経過)
   事情聴取が終わろうとしている恵子
   ミキオが走って公園に来る。
恵子「ミキオ!」
   恵子に気付くミキオ。
ミキオ「恵子!」
   恵子を抱きしめるミキオ。
ミキオ「ごめんな。すぐにこっちに来られなくて」
恵子「うぅん…でも…怖かった」
ミキオ「それで、後付けてた男捕まったのか?」
   首を横に振る恵子。
ミキオ「そっか…」
恵子「分からないの。どうして後付けられなきゃいけないのか」
ミキオ「恵子のストーカーとか?」
恵子「そんな…ストーカーされる覚えないわ…私、本当に殺されちゃう
 って思っちゃった」
   思い出して泣きそうになる恵子。
ミキオ「取り合えず、戻ろう。もういいんだろ警察の方は」
恵子「うん」

〇マンション・恵子の部屋・寝室・中(夜)
   パジャマに着替えた恵子が入ってくる
   ミキオはベッドの中に入っている。
ミキオ「どう?シャワー浴びて少しは気分も落ち着いたか?」
恵子「うん」
   ミキオの隣に行く恵子。
ミキオ「じゃ、今日はゆっくり寝られそうだな」
恵子「うん。ミキオが居てくれるから」
   ミキオが微笑み、恵子もつられて微笑む。
ミキオ「じゃあ寝ようか」
恵子「うん。おやすみ」
   × × ×
   恵子とミキオが眠りについた頃、カラカラカラとバットを引きず
   る音が聞こえ出し、目を覚ます恵子。
恵子「え…」
   身体を起こす恵子。
恵子「何で…なんでまた聞こえるの?」
   ミキオは恵子に背を向けている。
恵子「ミキオ?起きてる?ねぇ、またあの音がするの」
   ミキオの体を揺らす恵子。
ミキオ「なぁ恵子…」
恵子「何?早く起きて!」
ミキオ「恵子をストーカーしてた顔って覚えてるか?」
恵子「え?顔?顔は…マスク被ってたからよく分からなかったけ
 ど…ねぇ何でそんな事聞くの…?」
ミキオ「もしかして、こんな顔してた?」
   ミキオが恵子の方に振り向くと公衆トイレで見た時の顔になっ
   ている。
恵子「!!!」
   ベッドの隙間から釘付きの木製バットを出すミキオ。
   ミキオが立ち上がり思い切り恵子に向かってバットを振り下ろ
   す。
恵子「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

〇同
   恵子が勢いよく体を起こす。
   肩で息をする恵子。
恵子「え?(左右を何度も見て)夢?」
   身体中に汗をびっしょりかいている
   隣にミキオが恵子に背を向けて眠っている。
恵子「ミキオ…」
恵子M「今までのは全部夢だったの?」
   唾を飲み込む恵子。
   起き上がり、洗面所へ行く。

〇同・洗面所(夜)
   恵子が蛍光灯のスイッチを入れる。
   鏡の中の自分の顔を見る恵子。
   顔色が悪い。
恵子M「長い悪夢を見てたんだ…」
   水道の蛇口をひねる恵子。
恵子M「怖かった…でも本当に夢でよかった…」
   顔を洗う恵子。
   タオルで、顔を拭き鏡を見ると背後に夢で見たマスクを被った
   男が立っている。
恵子「ヒッ!」
   振り向く恵子。
   男が背後から釘付きのバットを出してくる。
恵子「な、何で?何でここに居るの?こ、来ないで…」
   ゆっくりと男が恵子に近づいて来る
恵子「ミ…ミ…(怖くて声が出ない)」
   後ずさりしながら浴室へ行く恵子。

〇浴室・中(夜)
   恵子が来る。
   バスタブに足が当たり、バランスを崩し湯舟に落ちてしまう。
   パニックで身体が言う事を聞かない
恵子「助けて…助けて!」
   男が浴室の中に入り、恵子を見下ろす。
男「…」
   男がバットを振り上げる。
   恵子の絶叫。
   『ゴスッ』『ゴスッ』と鈍い音がして暗転。     

〇同・洗面所(夜)
   男が死体になった恵子の足首を持ち引きずっている。
   顔面は血だらけで、床に恵子の血液が付着していく。
   ミキオが来る。
   男がマスクを外し(画面には見えない)ミキオと目を合わせ互
   いに笑みを浮かべる。

完。

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